電気めっき(読み)デンキメッキ

化学辞典 第2版 「電気めっき」の解説

電気めっき
デンキメッキ
electroplating

表面処理の一種で,金属製品に美観耐食,耐摩耗,そのほか性能を与えるために,電解により金属あるいは合金皮膜を生成させる操作.実用化されている電気めっきとしては,Cu,Zn,Cr,Fe,Co,Ni,Ag,Cd,In,Sn,Rh,Au,Pt,Pbなどがあり,めっき可能であるが実用化されていないものとして,Ga,As,Mn,Sb,Pd,Tl,Re,Biなどがある.また,合金めっきとしては,Cu-Zn,Sn-Ni,Sn-Pb,Fe-Ni,Ni-Co,Ni-Cuなど,多くのものが開発されている.めっきの目的は,主として装飾および防食であるが,Crめっきのように耐摩耗,潤滑耐熱を目的としたもの,鋼の浸炭防止用Cuめっき,電鋳用のCu,Fe,Niめっきなどがある.また,電子工業において,Ni-Co,Fe-Niなどの磁性膜めっきが発達し,電算機用のメモリー素子に用いられている.また,不導体にめっきをする場合,いったん化学めっきにより金属皮膜をつけ,その上に電気めっきをする方法がとられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「電気めっき」の意味・わかりやすい解説

電気めっき【でんきめっき】

被めっき金属を陰極,めっき金属を陽極とし,後者(えん)を含む水溶液中で電気分解して,析出する金属で被膜を形成させる方法。鉄鋼・銅・アルミニウム製品などの耐食・耐摩耗性向上,美化などに広く利用される代表的めっき法である。めっき金属は金・銀・亜鉛クロム・ニッケル・スズなど多種。単一の金属を被覆する単層めっきと,銅・ニッケルめっきの上にクロムめっきを重ねるなどの複層めっきがある。被めっき物は研磨・酸洗いなど事前の清浄処理が重要。電解液に用いる塩は硫酸塩・塩化物・リン酸塩・シアン化物など。
→関連項目電鋳めっき(鍍金)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気めっき」の意味・わかりやすい解説

電気めっき
でんきめっき
electro-plating

めっきしたい金属のイオンを含む溶液中で金属製品を陰極(カソード)、めっきしたい金属または不溶性の金属電極を陽極(アノード)として電解し、めっきしたい金属のイオンを金属製品上に還元析出させ、めっき層を得る方法。金属製品の防食および装飾のために行う。普通は純金属をめっきすることが多いが、めっき層に高度な性能あるいは特殊な機能を与えるために、合金めっきや、金属中に非金属物質を分散させた複合めっきも行われる。

[杉本克久]

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