電気めっきを利用して物体の形を精密に複製する操作.電鋳をするために使用される母型を電型という.電気めっきの種類としては,おもに銅,ニッケル,鉄が用いられる.電型としては,合成樹脂,みつろう,セッコウ,ゴム類,木材のような非金属のものと,鉛,低融点鉛合金,銅,ニッケル,銀などの金属電型がある.非金属電型の場合は,銀の化学めっきあるいはスパッタリング,黒鉛粉,銅粉などの懸濁液の塗布などにより電気伝導性膜をつける必要がある.この膜は電鋳後のはく離膜の作用もする.金属電型の場合は,はく離膜をつける必要があり,
(1)酸化皮膜,化合物皮膜の生成,
(2)黒鉛粉末などの電気伝導物質の塗布,
(3)銀などの密着性の低い異種金属皮膜のめっき,
などの方法が行われている.電鋳は,グラビア印刷用版,工芸品,肖像レリーフ,あるいは人形,手袋など,プラスチックの複雑な形状の鋳型の成形に用いられている.また,電子工業においてプリント配線をはじめとする多くの操作に応用されている.
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電気分解により電極表面に金属を電着させ、電極を原型としてこれと精密に同じ形状のものを複製する方法。原型には一般に銅を用いるが、ニッケル、鉄を用いることもある。実際にはまず原型に電鋳を行って雌型をつくり、これにふたたび電鋳を行って原型を複製する。電極から電着金属を容易にはがせるように電極表面に黒鉛の細粉を塗っておくことが多い。
[井川克也]
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…また電気めっき(電鍍)は金属表面の防食,装飾,堅牢性付与の目的で広く行われている。電鋳は電気めっきの原理を利用して表面の凹凸を再現するもので,レコード原盤の製造などが行われる。金属の陽極反応の応用の一つが陽極酸化で,アルミニウムAl,タンタルTa上に酸化皮膜を製造するのに用いられる。…
※「電鋳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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