電鋳(読み)デンチュウ

デジタル大辞泉 「電鋳」の意味・読み・例文・類語

でん‐ちゅう〔‐チウ〕【電鋳】

電気鋳造」の略。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「電鋳」の意味・読み・例文・類語

でん‐ちゅう‥チウ【電鋳】

  1. 〘 名詞 〙でんきちゅうぞう(電気鋳造)」の略。〔稿本化学語彙(1900)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「電鋳」の解説

電鋳
デンチュウ
electroforming, electrotyping

電気めっき利用して物体の形を精密に複製する操作.電鋳をするために使用される母型を電型という.電気めっきの種類としては,おもに銅,ニッケル,鉄が用いられる.電型としては,合成樹脂みつろう,セッコウ,ゴム類,木材のような非金属のものと,鉛,低融点鉛合金,銅,ニッケル,銀などの金属電型がある.非金属電型の場合は,銀の化学めっきあるいはスパッタリング黒鉛粉,銅粉などの懸濁液塗布などにより電気伝導性膜をつける必要がある.この膜は電鋳後のはく離膜の作用もする.金属電型の場合は,はく離膜をつける必要があり,
(1)酸化皮膜,化合物皮膜の生成,
(2)黒鉛粉末などの電気伝導物質の塗布,
(3)銀などの密着性の低い異種金属皮膜のめっき,
などの方法が行われている.電鋳は,グラビア印刷用版,工芸品,肖像レリーフ,あるいは人形,手袋など,プラスチックの複雑な形状鋳型の成形に用いられている.また,電子工業においてプリント配線をはじめとする多くの操作に応用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「電鋳」の意味・わかりやすい解説

電鋳 (でんちゅう)
electrotyping
electroforming

金属を電着させて精巧な複製をつくる方法。硫酸銅溶液の中に母型と銅板を入れ,母型を陰極,銅板を陽極として電気分解すると,母型上に銅が電着する。電着層が適当な厚さになったとき,引きはがすと,母型とは凹凸反対の型ができる。次にこの型を陰極として同じように銅を電着させると,母型と同じ凹凸が得られる。非金属性の母型の場合には,黒鉛や金属粉末の塗布,金属の蒸着溶射などの方法によって表面導電性を付与して行う。電鋳はレコード原盤の複製などに利用される。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電鋳」の意味・わかりやすい解説

電鋳
でんちゅう
electroforming

原型をもとにして電解法で多数の複製品をつくる方法。原型表面に黒鉛粉,銅粉などを塗るか,または銀錯塩液とヨウ素溶液でヨウ化銀の薄膜をつけておく。これは原型が金属でない場合でも導電性にすると同時に,あとの剥離をよくするためである。これを電解槽に入れて銅,ニッケル,鉄などを電着すれば薄肉の陰型が得られる。その中へ活字合金を鋳込むと原型と同形の型版が得られる。型版をもとに最初と同じ作業をすれば陰型がいくつでもできる。これに所定の流動性材料を注入し固化して,原型と同形の複製を得る。原型が加熱できない材料で,しかも微細な凹凸の再現を必要とする場合,すなわちレコード原盤,印刷原版,装飾品原版などの製造に応用される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「電鋳」の意味・わかりやすい解説

電鋳
でんちゅう
electrotyping

電気分解により電極表面に金属を電着させ、電極を原型としてこれと精密に同じ形状のものを複製する方法。原型には一般に銅を用いるが、ニッケル、鉄を用いることもある。実際にはまず原型に電鋳を行って雌型をつくり、これにふたたび電鋳を行って原型を複製する。電極から電着金属を容易にはがせるように電極表面に黒鉛の細粉を塗っておくことが多い。

[井川克也]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「電鋳」の意味・わかりやすい解説

電鋳【でんちゅう】

電気めっきを応用して精密な複製をつくる方法。金属または石膏(せっこう)などで作った型に,銅,ニッケルなどを厚く電着させ,はがして型と同一の面を得る。非金属の型には導電性を与え,はがしやすくするため黒鉛などを塗布しておく。印刷の製版などに利用。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の電鋳の言及

【電気化学工業】より

…また電気めっき(電鍍)は金属表面の防食,装飾,堅牢性付与の目的で広く行われている。電鋳は電気めっきの原理を利用して表面の凹凸を再現するもので,レコード原盤の製造などが行われる。金属の陽極反応の応用の一つが陽極酸化で,アルミニウムAl,タンタルTa上に酸化皮膜を製造するのに用いられる。…

※「電鋳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android