(読み)キク

デジタル大辞泉 「鞠」の意味・読み・例文・類語

きく【鞠】[漢字項目]

人名用漢字] [音]キク(漢) [訓]まり
〈キク〉
まり。「蹴鞠しゅうきく
身を丸くかがめる。「鞠躬如きっきゅうじょ
大事に育てる。「鞠育
(「きく」と通用罪人を取り調べる。「鞠訊きくじん鞠問
〈まり〉「手鞠
[名のり]つぐ・みつ

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精選版 日本国語大辞典 「鞠」の意味・読み・例文・類語

まり【鞠・毬】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 遊戯に用いる球。古くは、綿を芯(しん)とし、糸でかがった。現代では、革や、ゴムでつくり、中に空気を入れて球状にしたものなど、種々ある。
      1. [初出の実例]「中大兄の法興寺の槻の樹(き)の下(もと)に毱(マリ)(く)うる侶(ともから)に預(くは)りて」(出典:日本書紀(720)皇極三年正月(岩崎本訓))
    2. 蹴鞠のこと。また、まりつきのこと。
      1. [初出の実例]「興あるまでまりあそばす」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
      2. 「毬(マリ)羽根ではどっちがよいヱ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三)
    3. 紋所の名。をかたどった図柄のもの。絹鞠、蹴鞠などがある。
  2. [ 2 ] 謡曲。左近之尉が、都で死んだ主君の形見の鞠と文とを持って薩摩に帰ると、主君の妻は悲しみのあまり心が乱れて、その鞠とともに狂ったように舞をまう。廃曲。

きく【鞠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しゅうきく(蹴鞠)」の略 ) けまり。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
    1. [初出の実例]「公家の身ながら、歌・鞠・学問・手跡にうとく」(出典:浄瑠璃・松風村雨束帯鑑(1707頃)一)

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普及版 字通 「鞠」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 17画

[字音] キク
[字訓] けまり・かがむ・しらべる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(きく)。〔説文〕三下に「鞠(たふきく)なり」とあり、けまりをいう。に借用することが多く、〔書、盤庚中〕「爾(なんぢ)惟(こ)れ自ら鞠(くる)しみ自らしむ」、〔詩、小雅、〕「母や我を鞠(やしな)ふ」、〔詩、小雅、節南山〕「鞠」、〔論語、郷党〕「鞠躬如(きくきゅうじょ)」などはみなの字義である。また訊鞠の字義。

[訓義]
1. けまり。
2. と通じ、かがむ、きわまる、つつしむ、やしなう、おさない、はらばうの諸義に用いる。
3. と通じ、しらべる、ただす、せめる、つげる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕鞠・鞫 万利(まり) 〔和名抄〕鞠 万利(まり) 〔名義抄〕鞠・鞫・ オサナシ・ツツシム・ミツ・キビシ・タモツ・ヤシナフ・ヲシフ・トフ・トブラフ・マリ・キハム・ツクス・ツグ・カタシ 〔字鏡集〕鞠 タモツ・ツツシム・ミツ・カガム・タカシ・ヲサナシ・ヲシフ・ヤシナフ・ツクス・マリ・ヲス・ハグクム・ツク・キビシ・キハム・トブラフ・トフ

[語系]
鞠・・掬・kiukは同声。抱いて養育する姿勢、苦しんで身をかがめる姿勢、深く身をかがめて拝する姿勢、きびしく罪人を窮治するときの姿勢、俯して両手を用いる姿勢など、みな似ているので、同系の語となる。鞠はそれらの語義と通用するところがある。

[熟語]
鞠按・鞠域・鞠育・鞠歌鞠劾鞠戯鞠躬鞠窮鞠凶・鞠・鞠鞠護鞠侯・鞠獄・鞠子・鞠室・鞠仗・鞠場・鞠訊・鞠治・鞠稚・鞠問・鞠養・鞠旅
[下接語]
育鞠・撃鞠・蹴鞠・訊鞠・撫鞠

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「鞠」の意味・わかりやすい解説

鞠 (まり)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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