とも(読み)トモ

デジタル大辞泉の解説

とも[接助・副助・終助]

[接助]動詞型・形容動詞型活用語の終止形、形容詞型活用語および助動詞「ず」の連用形に付く。
未成立の事実を条件とし、それに制約されずにある事柄が実現する意を表す。…としても。…ても。「どんなにつらくともくじけるな」「嫌なら行かずともよい」
「たとひ弓を持ちたり―、矢をはげずは(=矢ヲ弓ノ弦ニヒッカケナケレバ)かなひがたし」〈平家・九〉
確定した事柄を条件とし、それに制約されずにある事柄が実現する意を表す。たとえ、そうであっても。…のだが、それにしても。…たとしても。
「かくさし籠めてあり―、かの国の人来(こ)ば、みな開きなむとす」〈竹取
[副助]形容詞型活用語の連用形、あるいは量を表す副詞につく。量・程度や限度などを示す。「遅くとも11時までには帰る」「多少とも理解を示す」
[終助]活用語の終止形に付く。相手の言葉に強く同調・同意する意を表す。「きれいだとも」「そうです、そのとおりですとも
「左様でござる―」〈伎・幼稚子敵討〉
[補説]「とも」は、引用の格助詞「と」に、係助詞「も」の付いたものとも。は、上代、上一段活用動詞「見る」に付く場合に限り、「見(み)とも」という形をとることがある。「万代に携はり居て相見(み)とも思ひ過ぐべき恋にあらなくに」〈・二〇二四〉また、中世以降、動詞型活用語の連体形に付くものもみられる。「死ぬるとも敵に後を見すな」〈平家・九〉近世以降になると、文章語に用いられ、口語では、もっぱら「ても」が使われるようになる。は、中世末以降の口語において用いられた。

と‐も[連語]

[連語]《格助詞「と」+係助詞「も」》
」を強める言い方。「このままですむ―思えない」
「たぎつ瀬の中にも淀はありてふとなど我が恋の淵瀬―なき」〈古今・恋一〉
(同じ語の間で用いて)語意を強める意を表す。
「あなうれし―うれし」〈玉鬘

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

とも

〔格助詞「と」に係助詞「も」の付いたものから〕
( 接助 )
動詞および動詞型活用の助動詞の終止形、形容詞および形容詞型活用の助動詞の連用形に接続する。
現代語では、やや文章語的表現の場合に用いられる。
ある事柄に関係なく、他の事柄が成り立ったり進行したりする意を表す。逆接の仮定条件を表す用法。たとえ…ても。…ても。 「何を言おう-、むだだ」 「理論は正しく-、現場には向かない」 「ちはやぶる賀茂の社の姫小松よろづ代経-色はかはらじ/古今 大歌所
時間的・空間的な量のおおよそを表す。この場合には、量を表す副詞に付くことがある。 「遅く-明日の夕方にはできます」 「多少-疑義は残る」
既定の事柄を仮定条件として示し、後の事柄を強めて表す。…ではあるが。たとえ…であっても。 「楽浪ささなみの志賀の大わだ淀む-昔の人にまたも逢はめやも/万葉集 31」 → ても(接助)
( 終助 )
活用語の終止形に接続する。強い断定でもって言い切る場合に用いる。 「『ほんとに行くのか』『行く-』」 「そうだ-。昔はよく勉強したものだ」 〔
は近世以降の用法〕

とも

( 連語 )
〔格助詞「と」に係助詞「も」の付いたもの〕
「と」で受ける語を強めて言い表す。 「君-お別れだね」 「市長-あろう人がなんということだ」 「長し-思ひぞはてぬ昔よりあふ人からの秋の夜なれば/古今 恋三
同じ語を重ねて強調する場合、その間に入れる。 「又蝶は捕ふればわらは病せさすなり。あなゆゆし-ゆゆし/堤中納言 虫めづる
[句項目] ともあろうものが

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

とも

〘名〙 (「とも(艫)」と同語源)
① うしろ。後部。
※宇治拾遺(1221頃)四「此女、時々は見かへりなどすれども、わがともに、蛇のあるとも知らぬげなり」
② 動物のうしろあし。また、尻(しり)の部分。特に、馬についていう。
※浄瑠璃・源義経将経(1711頃)一「あっぱれ御馬候や、〈略〉ともは玄象牧馬の琵琶二面取て押し合せ、突っ立たり共謂つつべし」

と‐も

〘接助〙 動詞および動詞型活用の助動詞の終止形、形容詞および形容詞型活用の助動詞の連用形を受ける。
① 逆接の仮定条件を表わす。たとえ…ても。ても。
※古事記(712)下・歌謡「やたの 一本菅は 独り居り登母(トモ) 大君し よしときこさば 独り居り登母(トモ)
※平家(13C前)六「主が名をば知らずとも、尋ねてまいらせなむや」
※坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉八「弁論を逞しくしやうとも、〈略〉おれを遣り込め様とも、そんな事は構はない」
② 確定的な事柄を、仮定的に表現することによって強調する。…しているが。たとえ…しても。
※万葉(8C後)一・三一「ささなみの志賀の大わだ淀む友(とも)昔の人にまたも逢はめやも」
※歌舞伎・当龝八幡祭(1810)二幕「四十五匁、ちと重くとも持って下さい」
[語誌](1)語源は引用の格助詞「と」に係助詞「も」が付いて成立したものと考えられる。接続助詞「と」に係助詞「も」が付いて一語化したもの、との説もあるが、上代において「とも」が多用されているのに対して、接続助詞「と」はいまだ用いられていない。従って「とも」から「と」が生じたと考えるべきであろう。
(2)上代から現代に至るまで用いられているが、近世以降、口語では「ても」が優勢となり、「とも」は文章語的表現としてのみ用いられる。

と‐も

[1] (格助詞「と」に係助詞「も」の付いたもの)
① 引用を表わす。
※万葉(8C後)一七・三九二四「山の峡そこ登母(トモ)見えず一昨日も昨日も今日も雪の降れれば」
高瀬舟(1916)〈森鴎外〉「常は幸とも不幸とも感ぜずに過してゐる」
② 同じ語を重ねて強調する場合、その間に入れる。
書紀(720)皇極三年七月・歌謡「うづまさは神騰母(トモ)神と聞えくる常世の神を打ち懲ますも」
※堤中納言(11C中‐13C頃)虫めづる姫君「又蝶は捕ふればわらは病せさすなり。あなゆゆしともゆゆし」
[2] 〘終助〙 文に相当する語句を受け、言うまでもない、という意で強く肯定する。中世以後の口語。
※虎寛本狂言・止動方角(室町末‐近世初)「『其時分は定て私をもくっと取立て被下るるで御ざらう』『をを、取立てやらう共』」
[補注]終助詞「とも」の語源については、「源氏‐玉鬘」の「あなうれしともうれし」や、「今昔‐二六」の「穴悲しとも悲しや」のような用法から転じたものといわれる。

と‐も

(助動詞「たい(たし)」の連用形に係助詞「も」の付いた「たくも」の音便形「たうも」の変化したもの) 下に打消の語を伴って、…すること、…になることを望まないの意を表わす。→ともない
※浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)中「定めし死にとも有るまいし尤逃げても見さんしょし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典内のともの言及

【アンコウ(鮟鱇)】より

…背びれ前部の棘条(きよくじよう)は3~4本が互いに遊離している。第1棘は吻端(ふんたん)近くにあってもっとも長く,その先端は変形し皮弁になり,これを揺り動かし,小魚を誘引して捕食する。英名のanglerfishはこの習性による。…

※「とも」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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