音の壁(読み)おとのかべ(英語表記)sound barrier

翻訳|sound barrier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

音の壁
おとのかべ
sound barrier

航空機が音速をこえて飛ぼうとするときに遭遇するさまざまな障害をたとえて「壁」という表現が使われ,超音速で飛ぶにはこの壁を突破しなければならないという比喩。航空機が音速に近づくと空気の圧縮によって機体各部に強い衝撃波が生ずる。衝撃波が翼面にできると,その下流の気流がはがれて,揚力の急変と圧力中心の移動および抗力の著しい増大が起こる。また剥離流は強い乱れを伴うので機体に振動が加わるなど,技術的な難問が発生する。そのため超音速を目指して音の壁にぶつかり,命を落とした操縦士も少なくない。そのなかで人類初の超音速飛行に成功したのは 1947年ベルX-1研究機に乗ったアメリカ合衆国のチャールズ (チャック) ・イーガー大尉であった。

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デジタル大辞泉の解説

おと‐の‐かべ【音の壁】

飛行機の速度が音速に近づくときに生じる抵抗・振動・揚力低下などの物理的障害。越えられないと考えられたところからの名で、現在の超音速機では克服されている。

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百科事典マイペディアの解説

音の壁【おとのかべ】

飛行機が音速に近づくと機体表面,特に翼面の気流が部分的に音速に達し,その部分の圧力変化が不連続になって衝撃波を生じ,翼の揚力が減少,抗力が激増,また機の安定が乱れて操縦もむずかしくなる。音速を越えるためのこの困難を音の壁と呼び,その対策として翼を薄くし,後退角(後退翼)をつけ,機体にエリアルールを応用するなどが行われる。→超音速気流
→関連項目超音速機

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大辞林 第三版の解説

おとのかべ【音の壁】

飛行機の対気速度が音速に近づくときに生ずる種々の物理現象。衝撃波の発生により抗力が増し、揚力が低下し、強い振動が起こるなど、飛行の障害となる現象をさしていった語。音速が超えがたい障壁と考えられた時代の言葉。

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世界大百科事典内の音の壁の言及

【超音速飛行】より

…静止した空気の中を飛行機が飛ぶ場合も現象的にはまったく同じであって,超音速飛行を実現するためには,衝撃波に伴って生ずる抵抗をいかにして減らすかということと,その抵抗に打ち勝つ推力を発生できる推進装置を開発することが必要であった。高速気流
[音の壁]
 プロペラ機では750km/h程度が速度向上のほぼ限界である。それはこれ以上の速度になると,飛行速度と回転速度との合成速度であるプロペラの先端速度が音速に近づき,プロペラの先端から衝撃波が発生してプロペラの効率が急激に低下してしまうからである。…

【飛行機】より

…飛行機の速さが音速に近づくと,マッハ0.8とか0.9あたりで抗力が急に大きくなるので,そこを超えて音速以上(超音速)で飛ぶには,強力なエンジンが必要であり,機体の設計にも超音速時の抗力を減らすためにいろいろのくふうが必要である。このような音速を超えることのむずかしさを形容して音の壁ということばもある。軍用機の中でとくに高速を要求される戦闘機,爆撃機,偵察機などには超音速機が多い。…

※「音の壁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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