風見鶏(読み)かざみどり

精選版 日本国語大辞典 「風見鶏」の意味・読み・例文・類語

かざみ‐どり【風見鶏】

〘名〙
① 鶏にかたどった風見。西洋で、寺院の塔などに取り付けてある。
② 周囲の情勢権力者意向などによってくるくると方向や立場を変える人のたとえ。日和見(ひよりみ)主義者
※他人の顔(1964)〈安部公房〉灰色のノート「風見鶏の新聞論説委員あたりが」

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デジタル大辞泉 「風見鶏」の意味・読み・例文・類語

かざみ‐どり【風見鶏】

にわとりをかたどった風向計。西洋で、寺院の塔の上などに取りつけてある。
定見をもたず、周囲の状況を眺めて、都合のよい側にばかりつく人のこと。
[類語](1風向計風見かざみ/(2八方美人内股膏薬茶坊主・日和見主義者・御都合主義者・オポチュニスト

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改訂新版 世界大百科事典 「風見鶏」の意味・わかりやすい解説

風見鶏 (かざみどり)

〈風見〉ともいう。英語のvane(風見の総称)は古代英語のfana(旗)が語源で,旗印を立てて風の方向を知るとともに,その旗印の紋章で家柄を示したことを表している。風見の最も古い記録は,ギリシアの天文学者キュロスのアンドロニコスアテナイにつくった,〈風の塔〉と呼ばれた大理石の八角塔の頂上につけられたもので,銅製のトリトン(半人半魚の海神)の像が風にしたがって向きを変え,手にした杖(つえ)でその像に吹いている風の方向をさすようになっていた。ヨーロッパで教会の尖塔の先端に風見をつける風習は,9世紀の半ばに教皇の法令で定められたといわれ,それ以後13世紀ころにかけての種々の文献に現れている。教会には雄鶏(おんどり)の形をしたものが用いられたので,風見鶏weathercockという名前が一般化した。教会の風見は,キリストが捕らえられたとき,ペテロは3度自分とキリストとの関係を否認したが,雄鶏の力強い鳴声で自己の誤りにめざめた(《ルカ伝》22の54~62)ことになぞらえ,僧職者はペテロを覚醒(かくせい)させた雄鶏のように力強く人々をめざめさせ,教会に集わさせねばならないことを表していた。ただしこれには異説があって,雄鶏は警戒心が強いので東方では夜の悪魔を追い払う力があると信じられ,その民俗がギリシア,ローマに伝わったので,十字架よりもさらに有効に悪魔を追い払う力があると信じられていたことを表していたという見方もある。初期の教会は,東から西に向かって建てられ,聖壇はその東端につくられていたので,風見のさす方向は建物と対照することによって知ることができた。風見のデザインには,雄鶏だけでなく,紋章や怪奇動物,あるいは装飾的なものも見られる。
風向計
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百科事典マイペディア 「風見鶏」の意味・わかりやすい解説

風見鶏【かざみどり】

風向きを知る具。〈風見〉とも。最古の記録はアテナイの風の塔の海神トリトンの像。西洋の教会では風見鶏をつけるが,これはキリストとの関係を3度否認したペテロをめざめさせた雄鶏の記念という。鶏が常に風に向くよう,頭と尾の風の当たる部分を不均衡に作る。ほかに紋章や怪奇な動物の像も用いられた。

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デジタル大辞泉プラス 「風見鶏」の解説

風見鶏

NHKのドラマシリーズ「朝の連続テレビ小説」の作品のひとつ。1977年10月~1978年4月放映。脚本:杉山義法。音楽:奥村貢。出演:新井春美、蟇目良、大木実ほか。戦争によりドイツ人でパン職人だった夫と生き別れた女性・ぎんが、神戸でパン屋を営み成功するまでを描く。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「風見鶏」の意味・わかりやすい解説

風見鶏
かざみどり
weathercock

屋根や船のマストなどに設置された矢羽根のある風向計。西洋では教会の塔などに雄鶏をかたどった風見鶏が多くみられ,風向きが天候と関係が深いことからウェザーコックと呼ぶ。日本にはカラスをかたどった風見鶏もある。

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