餅花(読み)モチバナ

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改訂新版 世界大百科事典 「餅花」の意味・わかりやすい解説

餅花 (もちばな)

小正月の物作りの一種。米の粉を丸めただんごや餅で作物の豊熟した形を模し,柳,エノキ,栗,ミズキなどの枝にさしたもので,その年の農作物豊作を祈って作られる。もともとは粥柱や粥杖(かゆづえ)などに由来し,削掛けの技術の衰えとともにホダレ(穂垂),繭玉,稲の花などに分化発展したものといわれている。餅花の大きな枝にはいっしょに農具小判宝船などをかたどっただんごやミカンがつけられることもあり,石臼や米俵を台にして神棚をまつる部屋に立てられる。これとは別に小枝に数個のだんごや餅をつけて屋内外の神々に供えることもある。このうち繭の形を模したものを繭玉(まゆだま)といい,ほかに稲の花,粟穂,木綿花(もめんばな)などもある。餅・だんごではなくヌルデの枝を短く切って割竹にさした粟穂稗穂も作られる。概して東日本で多く行われるが,西日本でも餅花は作られている。また九州南部のホダレは他とは異なり,稲わらや茅の葉の束に小豆粥をつけてもみがらをまぶし稲穂の垂れた形を模したものである。これは秋からの準備や,後に苗代田に持っていくことからみて稲魂継承を暗示する儀礼一部と考えられ,物作りの原形を探ろうとするとき,注目すべき例といえよう。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の餅花の言及

【花】より

…その造花は平安時代のころは絹を材料にし,のちにはさまざまな色に染めた紙を使うようになった。ミズキなどの枝に花が咲いたように小さな餅をつける餅花も,神霊の依代であり,吉兆笹はその変形である。法会の席に摘んだ花や花弁をまく散華の風は仏教がもたらしたが,あまり一般化していない。…

※「餅花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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