髄膜炎、脳炎(読み)ずいまくえん、のうえん(その他表記)Meningitis, encephalitis

六訂版 家庭医学大全科 「髄膜炎、脳炎」の解説

髄膜炎、脳炎
ずいまくえん、のうえん
Meningitis, encephalitis
(子どもの病気)

どんな病気か

 髄膜炎発熱頭痛嘔吐や、時にけいれん(20~30%)を起こすもので、脳炎はそれに加えて意識障害を伴うのが特徴です。乳幼児が多くかかります。

原因は何か

 髄膜炎は細菌とウイルス、脳炎はウイルスが大部分の原因です。髄膜炎を起こす細菌(インフルエンザ菌や肺炎球菌など)は鼻やのど、肺に付着し、そこから血管内へ進入して髄膜に到達し、髄膜炎を起こします。髄膜炎や脳炎を起こすウイルス(夏かぜ、おたふくかぜヘルペス日本脳炎などのウイルス)は神経に感染しやすい性質があります。しかし、それらが感染しても髄膜炎、脳炎にかかるのはごく一部です。

症状の現れ方

 発熱、頭痛、嘔吐で始まり、24時間以内に髄膜刺激症状(髄膜炎でみられ、頸の前屈で痛みを生じる)や意識障害(脳炎でみられる)、けいれんを起こします。乳児の髄膜炎は髄膜刺激症状があまり現れず、泣き声がかん高くなって大泉門(前頭部にある頭蓋骨のすきま)がふくらみます。

検査と診断

 髄膜炎は髄液検査(炎症所見、微生物検出)で、脳炎は髄液検査と脳のCTMRI脳浮腫(のうふしゅ)像、脳病変)、脳波(高振幅徐波(じょは))で診断します。

治療の方法

 入院が必要です。細菌性髄膜炎には抗菌薬インフルエンザ菌に対してはステロイド薬を併用)、ヘルペス脳炎にはアシクロビル(ゾビラックス)が有効であり、早期に治療を開始すれば予後の改善が期待できます。抗けいれん薬の使用や脳浮腫の治療(輸液制限、濃グリセリン・果糖の点滴)も行われます。

 重症例では神経後遺症のリスクが高くなります。

病気に気づいたらどうする

 発熱と頭痛、嘔吐がある時は、小児科を受診してください。

関連項目

 急性脳症

千田 勝一

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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