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日本脳炎 にほんのうえん Japanese encephalitis

9件 の用語解説(日本脳炎の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

日本脳炎
にほんのうえん
Japanese encephalitis

1935年に病原ウイルスが分離され,54年に旧伝染病予防法によって法定伝染病に加えられた流行性のウイルス性脳炎。現在は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で4類感染症と定義される。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

日本脳炎

高熱や頭痛、けいれんを引き起こし、死に至る場合もある。ブタが持つウイルスが、主に水田地帯に生息するコガタアカイエカ(蚊)を介して感染する。脳炎の発症はウイルス感染者1千人に1~20人の割合だが、決定的な治療法はなく、ワクチンが重要な予防手段となる。

(2014-07-23 朝日新聞 朝刊 2道)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

にほん‐のうえん〔‐ナウエン〕【日本脳炎】

日本脳炎ウイルスの感染によって起こる脳炎。感染症予防法の4類感染症の一。コガタアカイエカの媒介によるため、夏に流行する。感染しても症状の現れないことが多いが、発病すれば致命率が高く、治っても重い後遺症を残す。

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百科事典マイペディアの解説

日本脳炎【にほんのうえん】

法定伝染病。夏季に流行するウイルス性の病気で,まずブタの間に広まり,そのウイルスをコガタアカイエカなどのカが人間に移す。前駆症状がなくて突然高熱で発症し,短時日意識障害などが現れ,高熱が続いて傾眠昏睡におちいる。
→関連項目ウイルス病感染症予防法伝染病日本脳炎ウイルス脳炎不顕性感染保菌者予防接種流行性脳炎

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家庭医学館の解説

にほんのうえん【日本脳炎 Japanese Encephalitis】

[どんな病気か]
 日本脳炎ウイルスが感染して脳がおかされる病気です。
 かかった人の約20%は死亡し、約20%は治った後に知能障害や手足のまひが残ってしまいます。完全に治るのは、50~60%という悪性の病気です。
●感染と発病
 日本脳炎ウイルスをもったコガタアカイエカというカに刺されて感染します。
 ただ、さいわいなことに感染を受けた人すべてが発病するわけではなく、大部分の人にはなにごともおこらず、ウイルスに打ち勝って免疫(めんえき)ができます(不顕性感染(ふけんせいかんせん))。
 発病するのは、感染を受けた人のごく一部の人(流行によって大差がありますが、ふつうは10万人について数人)だけです。
●発生地域と流行する季節
 8月から9月にかけて、カのいる青森県以南の地域に発生します。
●発生状況
 近年、日本では、病人の発生が非常に少なくなりました。これは、予防接種の普及とカの減少が大きな原因です。
[症状]
 4日~2週間の潜伏期を経て、急に38℃前後に発熱し、頭痛、嘔吐(おうと)、軽い腹痛や下痢(げり)などがおこります。
「夏かぜ」か「腹くだし」かとおもっているうちに、熱が39℃前後になり、興奮したり、顔や手足にけいれんがおこったり、斜視(しゃし)や眼震(がんしん)がおこったりと脳炎らしい症状になってきます。
 病気の峠は、発病後4~5日のころです。この時期をもちこたえると、しだいに熱が下がり、ほかの症状もおさまってきますが、数週間は表情が失われ、話が低声・単調だったり、健忘症(けんぼうしょう)になったりします。
●後遺症
 重症だった場合は、重い精神障害や手足が硬直して動かせないなどの後遺症が長く残ります。
 成人の場合は、半年くらいで回復することもありますが、子どもは回復が困難です。
●受診する科
 内科か小児科を受診します。日本脳炎の疑いがあれば、血液や脳脊髄液(のうせきずいえき)の検査が必要になります。
[治療]
 日本脳炎ウイルスに効く薬はありません。鎮静薬(ちんせいやく)や強心薬を用いるほか、意識のない間は大量輸液や経鼻栄養で栄養や水分を補給し、肺炎(はいえん)・とこずれなどの合併症や後遺症の予防・治療を行ないます。
[予防]
 予防接種が有効です(予防接種とはの「予防接種の種類」)。炎天下で帽子をかぶらずに遊んで体力を弱らせたり、頭をひどく打ったりすると発病の誘因になります。

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世界大百科事典 第2版の解説

にほんのうえん【日本脳炎 Japanese encephalitis】

日本脳炎ウイルスによって起こる感染症。1871年(明治4)の夏から秋にかけて京都で流行した脳炎が今日の〈日本脳炎〉の正式記録の始まりである。日本脳炎は長い間,他の脳炎,とくに嗜眠性脳炎(エコノモ型,A型,冬季脳炎などとも呼ばれる)と混同されて,いろいろな名称で呼ばれてきた。すなわち,1903年の東京で流行した〈吉原風邪〉に始まり,仮性脳脊髄膜炎,夏季脳炎,B型流行性脳炎,日本流行性脳炎などと呼ばれてきたが,その後に日本脳炎に統一され,54年に法定伝染病に加えられた。

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大辞林 第三版の解説

にほんのうえん【日本脳炎】

日本脳炎ウイルスによって起こる流行性脳炎。主にコガタアカイエカによって媒介される。死亡率が高く、治癒しても後遺症を残すことがある。 B 型脳炎。 → 嗜眠しみん性脳炎

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知恵蔵miniの解説

日本脳炎

日本脳炎ウイルスの感染によっておこる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患。ヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖された後、そのブタを刺したコガタアカイエカなどが人を刺すことによって感染する、東アジア南アジアにかけて広く分布する病気である。ウイルスを持つ蚊に刺されたあと、症状がなく経過する場合がほとんだが、症状が出るものでは、6~16日間の潜伏期間の後に、数日間の高熱、頭痛、嘔吐などで発病し、引き続き急激に、光への過敏症、意識障害、神経系障害(脳の障害)を生じる。症状が出る可能性は少ないが、症状が出た人のうち、約15%が死亡に至るといわれており、特に幼少児や老人では死亡の危険は高くなっている。12年10月、岐阜県・美濃市で、小学5年生男児が日本脳炎の予防接種を受けた5分後に心肺停止状態になり死亡した。厚生労働省は、日本脳炎の予防接種で重い副作用が報告されたことから、05~09年度には積極的な勧奨を差し控えていたが、新ワクチンが開発されたため10年度から再開。同省や新ワクチン開発に携わった専門家はこの事例について、急性アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」の可能性を指摘している。

(2012-10-21)

出典|(株)朝日新聞出版発行
(C)Asahi Shimbun Pubications Inc
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

日本脳炎
にほんのうえん

日本脳炎ウイルスによる急性感染症で、感染症予防・医療法感染症法)では5類感染症に分類されている。かつては同じ流行性脳炎の嗜眠(しみん)性脳炎との異同からB型脳炎とか夏季脳炎などといろいろな名称でよばれていた。1948年(昭和23)から67年までは年間発生数が1000例以上、50年には5000例を超える発生もあったが、予防接種などの効果が現れて72年以来100例以下となり、92年(平成4)以降は一桁(けた)まで減少した。多発時には北海道を除く各地で流行し、小児と60歳以上に好発したが、1992年以降は発生地も九州、中国、四国地方を中心とする西日本地区に限局され、また、患者もほとんど高齢者に限られている。
 なお、日本脳炎という名称は、この病気が日本にだけあるという意味ではない。日本で最初に認識され、病原、疫学、臨床なども日本でもっともよく研究されたからという意味で命名されたものである。日本脳炎は、韓国、台湾、中国本土、タイ、ミャンマー、インド、さらにマリアナ諸島、フィリピン、スンダ列島に至る西南太平洋地域にも存在し、流行がみられる。[柳下徳雄]

症状

急に38~39℃の発熱がおこり、かなり強い頭痛のほか、悪心(おしん)や嘔吐(おうと)を伴う。年少者では腹痛や下痢などの胃腸症状もおこることがまれでない。最初は夏かぜや寝冷えによく似ているが、熱はさらに40℃前後に達し、興奮、意識混濁、顔面や手足のけいれんがときどきおこったりして脳炎らしい症状が現れてくる。発病後4~7日が病気の峠で、この時期を過ぎれば熱もしだいに下がって回復に向かうが、肺炎や心筋炎などの合併症をおこすことがある。また、後遺症が高率に現れ、数週から数か月にわたって音声が低く単調になったり、健忘がみられ性格が変調したりするが、重症では手足の強直性麻痺(まひ)が一生残り、性格異常や認知症などの精神障害もおこる。一般に幼小児の後遺症は治りにくく、成人の場合は最初かなり重症でも半年くらいで回復することが多い。[柳下徳雄]

診断

初期は各種の髄膜炎、脳出血、感冒などと誤診されやすい。症状が強く現れたときは臨床症状と髄液の検査でほぼ診断されるが、確実な診断、とくに他のウイルス性脳炎との鑑別や軽症あるいは不顕性感染であった場合の診断は、血清反応(補体結合反応および赤血球凝集抑制反応)によらなければならない。しかし、この反応は発病後10日以上経過してからでないと現れてこない難点がある。[柳下徳雄]

治療

原因療法はなく、対症療法のほか、合併症の予防や後遺症の治療など一般的看護に重点が置かれる。ICU(集中治療室)の活用によって救命しうるようになり、後遺症のリハビリテーションも回復期の早期から実施されるようになったが、幼小児の後遺症の回復は困難である。[柳下徳雄]

予後

乳幼児と高齢者の予後が悪く、また発熱が41℃以上になった場合も悪い。一般的には発病者の約20%が死亡、約20%には重い後遺症がみられ、完全に治癒するのは50~60%である。[柳下徳雄]

感染と発病

病原ウイルスをもったカ(多くはコガタアカイエカ)に刺されることによって感染し、ヒトからヒトへの感染はない。したがって、日本脳炎はカの発生に関連して7~10月に流行し、ほかの季節にはみられず、流行地域も限定されてくる。また、大部分の人は不顕性感染で、なにも病感がおこらず、流行によって差もあるが、普通10万人について数人が発病するにすぎない。
 なお、日本脳炎は家畜伝染病でもあり、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギなど大形の哺乳(ほにゅう)類にも流行するが、やはり不顕性感染が大部分で、発病率はヒトとウマがもっとも高い。[柳下徳雄]

流行予測

1965年(昭和40)から厚生省(現厚生労働省)では日本脳炎の流行予測を行っているが、これは、日本脳炎がブタやウマの間に流行してから3~5週後にヒトに流行がおこるという事実に基づいて実施されている。毎年5月から10月にかけて各都道府県ごとに、1~3か所の食肉処理場から生後5~8か月のブタ、すなわち前年の日本脳炎の流行に関係のないブタ20頭の血液を毎週集めて日本脳炎に対する抗体の有無を調べる。抗体保有率が50%以上になればブタに日本脳炎の流行がおこったことがわかり、したがって2~3週後にはヒトにも患者発生が到来する可能性があるものとみて、流行予測(流行地指定)が公表され、臨時予防接種の実施が検討される。[柳下徳雄]

予防

過労や睡眠不足を避け、カを駆除するほか、定期予防接種がある。予防接種法による第期定期接種は、初回免疫をつくるために1~4週間隔で2回日本脳炎ワクチンを皮下注射し、その後約1年を経過した時期に1回皮下注射して追加免疫する。第期定期接種は9~13歳未満に1回皮下注射、第期定期接種は14~15歳に1回皮下注射する。ただし、流行のない北海道と東北の一部の地域では行わない所もある。[柳下徳雄]

日本脳炎ウイルス

日本脳炎の病原体で、1934年(昭和9)に林道倫(みちとも)(1885―1973)が脳内接種法によって初めてサルに伝播(でんぱ)させ、36年には谷口・笠原(かさはら)らがマウスを使ってウイルスの分離に成功した。アルボウイルスのB群(現在の分類法ではフラビウイルス科フラビウイルス属)に属するRNAウイルスで、セントルイス脳炎や西ナイル脳炎のウイルスと類似するが、病毒の中和試験によって区別される。
 なお、日本脳炎ウイルスはカに媒介されてヒトや家畜に感染をおこすが、カのいない冬季をどのようにして越年し翌年ふたたび流行をおこすのか、これがわかれば予防できるわけであるが、まだ不明である。温帯地方では冬眠したカの体内で越年する可能性もあるが、まだ実証されず、カを食べるトカゲやヤモリの体内で越年する可能性や巣立ちのできない野鳥とくにサギ類の体内に保有されるという考えなどもある。また、西南太平洋一帯に分布することから渡り鳥に注目する者もある。なお、感染したウマやブタはその年のウイルスを成育させることはあっても、ウイルスの保有者ではないとされている。[柳下徳雄]

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世界大百科事典内の日本脳炎の言及

【脳炎】より

…脳実質の炎症による神経疾患で,病原体の脳実質への直接の影響によるもの,各種感染症に続発したり予防接種後などにおこるアレルギー性機序の考えられるものがある。(1)病原体が脳実質を直接侵すことによる脳炎 日本脳炎,エコノモ脳炎,単純ヘルペス脳炎などをはじめ病原体はほとんどがウイルスである。症状は発熱,頭痛,吐き気,嘔吐などで始まり,意識障害や精神症状を呈するようになる。…

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