高隈山地(読み)タカクマサンチ

デジタル大辞泉 「高隈山地」の意味・読み・例文・類語

たかくま‐さんち【高隈山地】

鹿児島県、大隅半島西部にある山地。鹿児島湾沿いに南北に連なり、北は霧島きりしま市福山町付近から南は鹿屋かのや市古江付近まで南北約25キロメートル、東西約15キロメートル続く。そのうち標高1000メートル以上の山岳群を総称して高隈山と呼ぶこともある。最高点は大箆柄おおのがら岳で1236メートル。自生ツツジ・照葉樹林ほか渓谷・山岳など景観に富む。

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日本歴史地名大系 「高隈山地」の解説

高隈山地
たかくまさんち

大隅半島中央西部、鹿児島湾に沿う山地。大篦柄おのがら(一二三六・四メートル)最高峰とし、南に小篦柄このがら岳・スマン岳・つま岳・おん(権現岳、一一八一・六メートル)なか岳と続く南北の主脈のほか、御岳から北東に続く鷹羽たかのは岳、妻岳から西に続くひら岳・よこ岳、はく(地元ではハッサンともよぶ)などを総称する。肝属きもつき川水系の鹿屋川・高隈川(串良川)や大篦柄川・高須たかす川・本城ほんじよう川などの分水嶺となっている。「三国名勝図会」の高隈郷の項には鹿屋・花岡はなおか新城しんじよう垂水たるみず牛根うしね(現垂水市)百引もびき(現輝北町)の諸邑すべて高隈岳の麓にありと記す。鹿屋郷の項には大窪おおくぼ(上名村)にありとして権現ごんげん岳・須摩すまん岳・中岳をあげ、総称として高隈岳と記す。垂水郷の項では本岳・大小葉山・須麿山・長尾山・匹岳・大羽重おおばえ山・さるじよう山などをあげ、総称として垂水岳と記す。元徳二年(一三三〇)八月日の鹿屋院雑掌兼信申状(肝付文書)に添えられた鹿屋院惣地頭代官等押領田在家山野注文(同文書)狩倉注文に、高牧など二四の狩倉があげられており、高隈山地周辺に狩倉が設けられていたことがうかがわれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高隈山地」の意味・わかりやすい解説

高隈山地
たかくまさんち

鹿児島県東部,大隅半島の西部にある山地。最高峰は大篦柄岳(おおのがらだけ。1237m)。そのほかに御岳(1182m),横岳(1094m)など 1000m以上の山があり,これらを総称して高隈山と呼ぶ。主として中生代白亜紀地層からなる。高温多雨で森林資源に富む。大隅半島中部諸河川の水源地をなし,東斜面を流れる高隈川には 1967年高隈ダムが建設され,1969年には笠野原水利事業が完工した。これにより従来は生活用水も不足していた笠野原畑地灌漑が進んだ。高隅ダム建設によってできた高隅湖一帯は高隈山県立自然公園に属する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高隈山地」の意味・わかりやすい解説

高隈山地
たかくまさんち

鹿児島県大隅半島(おおすみはんとう)の骨格をなす古い山地。鹿児島湾沿いに南北に連なり、北は霧島(きりしま)市福山町付近から南は鹿屋(かのや)市古江(ふるえ)付近に及ぶ。最高点は大箆柄岳(おおのがらだけ)で約1237メートル。近くには1000メートルを超える峰が2、3座あるが、北部に向かうにつれ高度は低下し、400~500メートルの山地となる。地質は高隈山累層とよばれる砂岩・頁(けつ)岩の互層に花崗(かこう)岩が貫入した形を示し、一部に花崗岩体が露出している。植生は植林によるスギ類が多く、林産資源供給の一主要地となっている。当山地中の高峠(たかとうげ)高原や、高隈ダム建設によって出現した大隅湖一帯は高隈山県立自然公園に指定され、自生ツツジや照葉樹林、渓谷、山岳景観を求めるハイカーや家族連れの客が訪れる。

[塚田公彦]

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世界大百科事典(旧版)内の高隈山地の言及

【大隅半島】より

…東側は太平洋に面し,西側は鹿児島湾を隔てて薩摩半島に対する。北西部に高隈山地,南部に肝属(きもつき)山地,西部に1914年の噴火によって陸続きとなった桜島があるが,大部分は一般にシラスとよばれる透水性の大きい姶良(あいら)火山噴出物が,緩やかに傾斜して笠野原などのシラス台地を形成している。台地の所々に中生層や花コウ岩よりなる山地が散在し,南部の肝属山地の太平洋に臨む海岸は長い絶壁が連続する。…

※「高隈山地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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