霧島(読み)キリシマ

デジタル大辞泉 「霧島」の意味・読み・例文・類語

きりしま【霧島】


鹿児島県鹿児島湾北岸にある市。北部の霧島山系から平野部まで温泉が数多い。鹿児島空港がある。平成17年(2005)11月、国分市と周辺6町が合併して成立。人口12.8万(2010)。
霧島山」の略。
キリシマツツジの別名。 春》「―や葉一つなき真盛り/風生

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精選版 日本国語大辞典 「霧島」の意味・読み・例文・類語

きりしま【霧島】

  1. [ 1 ]
    1. [ 一 ] 宮崎・鹿児島県境にある霧島山、およびその付近の呼称。
    2. [ 二 ] 鹿児島県北東部、霧島山の南側にある地名。霧島神宮、湯之野温泉などがある。霧島屋久国立公園の霧島地区の表玄関で、日豊本線が通じる。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙きりしまつつじ(霧島躑躅)」の略。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「広庭(ひろには)きり嶋の躑躅(つつじ)咲初(さきそめ)て、野も山も紅(くれな)井の袴(はかま)を召(めし)たる女臈(ぢょらう)あまた」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)三)

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改訂新版 世界大百科事典 「霧島」の意味・わかりやすい解説

霧島[市] (きりしま)

鹿児島県中部の市。2005年11月国分(こくぶ)市と霧島,隼人(はやと),福山(ふくやま),牧園(まきぞの),溝辺(みぞべ),横川(よこがわ)の6町が合体して成立した。人口12万7487(2010)。

霧島市北東部の旧町。旧姶良(あいら)郡所属。人口5918(2000)。霧島山南麓にあって,町の中央部を霧島川が南流し,シラス台地を分断する。霧島神宮鳥居前町として古くから開け,神宮の座主を務めた税所氏が支配したが,文明年間(1469-87)に島津氏に敗れ,以後は,同氏の支配下に入った。宝永年間(1704-11)には800人以上の山伏がいて霧島信仰の中心となっていた。幕末から明治初期には薩摩藩家老桂久武が士族救済のため田口の一部を開拓し,桂内と名づけられた。霧島川沿いの稲作を中心に,台地上では露地野菜,鶏卵,肉牛の生産が行われている。JR日豊本線霧島神宮駅の近くに霧島温泉郷に属する霧島神宮温泉,町北部に湯之野温泉がある。
執筆者:

霧島市南東部,鹿児島湾北岸の旧市。1955年市制。人口5万3966(2000)。市名は713年(和銅6)大隅国が設置されて国府,国分寺の置かれたことに基づく。国府跡ははっきりしないが,国分寺跡(史)には石造層塔や石造仁王像が残っている。市域は湾岸の沖積平野と背後の台地(おもにシラス台地)からなる。沖積平野がかなり広く,古くから地方の中心で,17世紀初めに島津義久がここに城を構え居住したこともある。《鹿児島小原節》に歌われた国分タバコが江戸時代から有名であるが,今日では生産も少ない。米,タバコ,茶,畜産のほか,トマト,キュウリ,ナスなどの施設園芸や育苗が盛んである。またJR日豊本線,国道10号線が通り,市の北西方の台地上に72年鹿児島空港が開港し,交通が著しく便利になったため,京セラ,ソニーなどのエレクトロニクス工場ができ,84年テクノポリスの指定を受けた。これに伴い,テクノポリスセンターや上野原(うえのはら)テクノパークの建設が進むなど,市勢は急速に発展している。東九州自動車道のインターチェンジも設置されている。日本最古の縄文時代集落遺跡(上野原遺跡)はテクノパーク造成中に発見され,〈上野原縄文の森〉として整備された。
執筆者:

霧島市南西部の旧町。旧姶良郡所属。人口3万6846(2000)。北部のシラス台地と中央を南流する天降(あもり)川の三角州と干拓地からなり,南は鹿児島湾に面する。天降川沿いにJR肥薩線と国道223号線が,海岸沿いにJR日豊本線と国道10号線が通じている。インターチェンジがある東九州自動車道は,隼人道路で九州自動車道に接続している。古代の大隅国分尼寺の跡かともいわれる隼人塚(史)が残る。戦国時代末期,島津義久は住吉に富隈城を築き,浜之市湊を開いたため商港として栄えた。港は明治期にも鹿児島への玄関口として発展し,現在は沿岸漁業の漁港になっている。産業は,台地上での野菜,タバコ,茶の栽培,平野部での稲作などの農業のほか,1960年代後半以降,繊維,電気関連の工業が誘致され,84年にはテクノポリスの指定を受けた。県立工業技術センター,工業高専もあり発展が期待される。北部に隼人,山之湯,妙見などの温泉群があり,観光地としても知られる。また鹿児島神宮がある。

霧島市南端の旧町。旧姶良郡所属。人口7516(2000)。鹿児島湾の湾奥東部に位置する。急傾斜地の迫る海岸部と,その背後に広がる標高300~400mの牧之原台地からなる。海岸沿いに国道220号線が通り,中央を国道10号線が横断する。中世には廻氏が仁田尾城を根拠として400年にわたって支配下においた。近世には島津氏の所領となり,牧之原台地に牧場が開発され,馬産の中心地となったが,1779年(安永8)の桜島噴火後,牧場は廃された。福山港は近世以来昭和初期まで農産物の集散地,交通の要地として栄えた。近年,台地上では肉牛の生産や冷涼な気候を利用したキュウリなどの野菜栽培が行われ,沿岸部の傾斜地はミカン園となっている。〈福山酢〉の名で知られる食用酢を特産する。

霧島市北部の旧町。旧姶良郡所属。人口9613(2000)。霧島山南西麓に広がる台地上に位置し,南西境を多くの支流を集めて天降川が南流する。西端にJR肥薩線が通じ,中央を国道223号線が通る。中世の税所(さいしよ)氏,北原氏の統治を経て,戦国時代末期には島津氏の支配下におかれた。近世はじめころから踊郷と呼ばれ,踊馬といわれる良馬の産地として知られた。霧島山中腹には競馬用のアラブ系馬を飼育する九州種馬牧場があった。北部は霧島屋久国立公園に属し,霧島山中腹に霧島温泉郷,南西端に塩浸(しおびたし)温泉(純重炭酸土類泉,52℃),ラムネ温泉(純重炭酸土類泉,36℃)など7温泉からなる新川渓谷温泉郷が存在するため,観光が主産業となっている。農業は河川沿いで行われる米作,台地上での茶,シイタケの栽培,肉牛飼育を主とする。ノカイドウの自生地(天)がある。

霧島市西部の旧町。旧姶良郡所属。人口8537(1995)。北西部を山地が占め,東部には台地が広がる。中世後期の肝付(きもつき)氏の支配の後,文禄期(1592-96)に島津氏の所領となり,溝辺郷が形成された。明治期は溝辺茶の産地として知られ,第2次大戦中には十三塚原に海軍航空隊の飛行場が建設された。産業は農業を主とし,台地上での野菜,茶,タバコの栽培のほか,畜産も盛んである。1972年に海軍飛行場跡地を利用して鹿児島国際空港が開設され,国内線や国際線の定期便が発着している。空港に接して九州自動車道の溝辺鹿児島空港インターチェンジが設置されている。

霧島市北西部の旧町。旧姶良郡所属。人口5516(2000)。霧島山の南西麓に位置し,北境と西境には標高400~600mの山地が連なり,この山地に源を発する小河川が町域を縦断して天降川(金山川)となる。中世には平氏の子孫藤内兵衛尉時信がこの地を支配し横川氏を称したといわれる。その後北原氏,菱刈氏の支配を経て,近世は薩摩藩領であった。中心集落横川は人吉街道の宿駅として栄えた。1640年(寛永17)に発見された山ヶ野金山は,長く薩摩藩の財政を支え,明治以後も採掘されてきたが,1953年閉山した。天降川水系沿いの米作のほか,山間部では霧の多い気候を利用して茶の栽培が盛ん。JR肥薩線が通じるほか,九州自動車道横川インターチェンジが置かれ,鹿児島空港にも近いことから工場誘致も進められている。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「霧島」の意味・わかりやすい解説

霧島(市)
きりしま

鹿児島県北東部、鹿児島湾(錦江湾(きんこうわん))の北岸に位置する市。2005年(平成17)国分市(こくぶし)と姶良(あいら)郡溝辺町(みぞべちょう)、横川町(よこがわちょう)、牧園町(まきぞのちょう)、霧島町、隼人町(はやとちょう)、福山町が合併して成立。西は姶良市、薩摩(さつま)郡さつま町、北は姶良郡湧水(ゆうすい)町、宮崎県えびの市に、東は曽於(そお)市、宮崎県都城(みやこのじょう)市、小林市などに接し、南西は鹿児島湾に面する。市域の北東および南部には霧島山系と高隈(たかくま)山系に連なる高山が続く。これら山地に発する霧島川、検校(けんこう)川、天降(あもり)川がシラス台地を南流しながら侵食、急崖をなして鹿児島湾に注ぎ、海岸部は遠浅で干拓地もある。JR日豊本線(にっぽうほんせん)が中央部を横断し、北部を同線から分岐した肥薩線が縦断する。市域の北西部には鹿児島空港が所在。西部を九州自動車道が、南部を東九州自動車道が走り、前者には横川、溝辺鹿児島空港、後者には隼人東、国分、隼人西の計5インターチェンジがあり、ほかに霧島スカイライン、国道10号、220号、223号、504号なども整備される。これら交通機関を利用して、霧島錦江湾国立公園に属する霧島火山群の自然、豊富な温泉群(霧島温泉郷、霧島神宮温泉郷、新川(しんかわ)渓谷温泉郷)、霧島神宮をはじめ天孫降臨神話にまつわる諸遺跡、国指定史跡の大隅国分寺跡(おおすみこくぶんじあと)などを、多くの観光客が訪れている。

 国分府中(ふちゅう)は大隅国府の所在地と推定され、古代には大隅地方の中心地であった。江戸時代には島津氏が河川整備、新田開発などの大土木事業を行った。1606年(慶長11)島津氏の家臣が栽培したのが起源とされる国分煙草(たばこ)は、鹿児島藩の主要な財源の一つとなった。現在、米、茶、ナス、トマト栽培などの農業、牧畜業、また福山黒酢、竹細工、錫(すず)器製造などの伝統産業も盛ん。近年は高度技術産業集積地域に指定されて、京セラ、ソニー(現、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング)などの先端技術産業も進出している。面積603.16平方キロメートル、人口は12万3135(2020)。

[編集部]



霧島
きりしま

鹿児島県中部、霧島山の南麓(なんろく)、姶良郡(あいらぐん)にあった旧町名(霧島町(ちょう))。現在は霧島市の東部を占める。1935年(昭和10)東襲山(ひがしそのやま)村が霧島村と改称。1950年(昭和25)重久(しげひさ)地区が新たに東襲山村(国分市を経て、現、霧島市)として分村、霧島村は1958年町制施行。2005年(平成17)霧島町は同郡溝辺(みぞべ)、横川(よこがわ)、牧園(まきぞの)、隼人(はやと)、福山(ふくやま)の5町及び国分(こくぶ)市と合併し霧島市となった。旧霧島町域は北部に霧島連山の韓国(からくに)岳、大浪(おおなみ)池、新燃(しんもえ)岳、中岳、高千穂峰(たかちほのみね)が連なり、南へ山麓台地とシラス台地が広がり、中央部を霧島川が南流する。南部をJR日豊(にっぽう)本線、中央部を国道223号、北部を霧島スカイラインが走る。旧町域をほぼ縦断する県道の利用度も高い。農林、牧畜業のほか、観光業も盛んである。霧島神宮(国宝)をはじめとした天孫降臨の神話にまつわる伝説や遺跡、霧島錦江湾(きりしまきんこうわん)国立公園に属する霧島火山群の自然、豊富な温泉(霧島神宮温泉郷)などがあり、夏には避暑地、保養地としても利用される。

[田島康弘]

『『霧島町郷土誌』(1967・霧島町)』


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百科事典マイペディア 「霧島」の意味・わかりやすい解説

霧島[町]【きりしま】

鹿児島県北東部,姶良(あいら)郡の旧町。霧島山の南西部と山麓のシラス台地を占める。中心市街は霧島神宮の鳥居前町で,また霧島温泉郷の湯之野温泉から引湯され,温泉地,霧島屋久国立公園(現・霧島錦江湾国立公園)の観光基地としてにぎわう。南部に日豊本線が通じる。米,野菜,サツマイモ,葉タバコを産する。2005年11月,国分市,姶良郡溝辺町,横川町,牧園町,隼人町,福山町と合併し市制,霧島市となる。82.54km2。5813人(2003)。

霧島[市]【きりしま】

鹿児島県中央部に位置する市。南部は鹿児島湾に面し,北部の山々は霧島錦江湾国立公園に属する。2005年11月,国分市,姶良郡溝辺町,横川町,牧園町,霧島町,隼人町,福山町が合併し市制。JR日豊本線,肥薩線,九州自動車道,東九州自動車道,国道10号線,223号線,504号線が通じる。市中央部に鹿児島空港がある。603.18km2。12万7487人(2010)。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霧島」の意味・わかりやすい解説

霧島
きりしま

鹿児島県北東部,霧島市北東部の旧町域。宮崎県との県境にある。1958年町制。2005年国分市,溝辺町,横川町,牧園町,隼人町,福山町の 1市 5町と合体して霧島市となった。北半は大浪池,新燃岳,高千穂峰を含む霧島山の南西山麓で,建国神話のニニギノミコト(瓊瓊杵尊)をまつる霧島神宮(国指定重要文化財)とともに霧島錦江湾国立公園に属する。山麓ではウシの飼育,酪農が行なわれる。南部はシラス台地で,タバコ,チャ(茶)などの畑が多いが,浸食谷には水田もある。JR日豊本線霧島神宮駅付近には霧島の表玄関としての観光集落があり,また霧島神宮前の門前町も湯之野温泉からの引き湯で温泉街を形成し,にぎわう。

霧島
きりしま

金剛型戦艦」のページをご覧ください。

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デジタル大辞泉プラス 「霧島」の解説

霧島〔戦艦〕

日本海軍の戦艦。金剛型戦艦の4番艦。1913年進水、1915年就役の超弩級戦艦。巡洋戦艦として竣工。のち、改造されて艦種変更。第二次世界大戦では、真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦などの戦闘に参加。第三次ソロモン海戦の際、アメリカの戦艦の攻撃を受け大破、自沈。

霧島〔焼酎〕

宮崎県、霧島酒造が製造・販売する焼酎のブランド名。本格芋焼酎。

霧島〔道の駅〕

鹿児島県霧島市にある道の駅。国道223号に沿う。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「霧島」の解説

霧島 (キリシマ)

学名:Rhododendron obtusum
植物。ツツジ科の常緑低木,園芸植物

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「霧島」の解説

きりしま【霧島】

和歌山の日本酒。蔵元は「川口酒造場」。所在地は日高郡印南町島田。

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