(読み)ます(英語表記)Die Forelle

精選版 日本国語大辞典 「鱒」の意味・読み・例文・類語

ます【鱒】

[1] 〘名〙 サケ目サケ科魚類のうち「マス」と名のつく種類のものの俗称。多くはサクラマスをいうが、ベニマスとその陸封型のヒメマスマスノスケビワマスカワマスなどの略称としても用いられる。また、マス釣り、マス鮨などという場合にはニジマスをさすこともある。《季・春》
出雲風土記(733)神門「則ち、年魚、鮭、麻須(マス)、伊具比有り」
[2] (原題Die Forelle)
[一] シューベルト作の歌曲作品三二番。一八一七年作。清流に泳ぐ魚が釣師につり上げられるさまを生き生きと描く。
[二] シューベルト作のピアノ五重奏曲、イ長調、作品一一四番。一八一九年作。第四楽章の変奏の主題に(二)(一)の旋律を使っているのでこの名で呼ばれる。

なな‐こ【鱒】

〘名〙 魚「ます(鱒)」の異名。〔観智院本名義抄(1241)〕

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デジタル大辞泉 「鱒」の意味・読み・例文・類語

ます【×鱒】

サケ科の魚で「マス」とつく名のものの称。特に、サクラマスカラフトマスをいう。また、釣りではニジマスをさすこともある。 春》「―れて斑雪はだれみぎはなせりける/波郷
[補説]作品名別項。→
[類語]桜鱒虹鱒姫鱒

ます【鱒】[曲名]

《原題、〈ドイツDie Forelleシューベルトの作品。
歌曲。1817年作曲。変ニ長調。作詞はC=F=D=シューバルトによる。漁師が魚を釣り上げる様子を描いたもの。
ピアノ五重奏曲。1819年作。第4楽章の主題にの旋律を用いている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鱒」の意味・わかりやすい解説


ます
Die Forelle

シューベルト作曲の歌曲。1817年作曲(D550)。ロマン派の叙情詩人シューバルトの詩に基づく。清流をマスが泳いでゆくのを岸に立って眺めていると、釣り師が現れ、そのマスをねらう。水が清らかなうちは針にかかるまいと思われたが、釣り師はわざと川の水を濁し、マスは釣り上げられてしまうという内容。自然への賛美と自由へのあこがれを込めたこの作品は三節からなり、水の流れを模した軽やかなピアノ伴奏にのって歌われるが、最終節では魚が釣り上げられるようすの描写に劇的な表現もみられる。2年後に作曲したピアノ五重奏曲(D667)の第四楽章で、シューベルトはこの歌曲の旋律を変奏曲の主題として用いており、そのためこの五重奏曲も「鱒」の名で親しまれている。

[三宅幸夫]

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デジタル大辞泉プラス 「鱒」の解説

オーストリアの作曲家フランツ・シューベルトの歌曲D550(1817)、原題《Die Forelle》。また、ピアノ五重奏曲D667(1819)は第4楽章が同歌曲を主題とすることから、作品全体の副題として『鱒』の名が用いられる。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「鱒」の解説

鱒 (マス)

学名:Salmo milktschitsch
動物。サケ科の遡河性魚

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