鶏冠（読み）トサカ

デジタル大辞泉

と‐さか【鶏^＝冠】

鶏・キジなどの頭の上にある肉質の冠状の突起物。ふつう雄に発達。肉冠。

けい‐かん〔‐クワン〕【鶏冠】

鶏のとさか。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

けい‐かん‥クヮン【鶏冠】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ニワトリのとさか。〔曹丕‐与鍾繇謝玉書〕
3. ② ( 「けいかんか（鶏冠花）」の略 ) 植物「けいとう（鶏頭）」の異名。
   1. [初出の実例]「猶似_二隋兵門外闘_一、花残庭下矮鶏冠」(出典：翰林葫蘆集（1518頃）三・玉樹後庭花)
   2. [その他の文献]〔本草綱目‐草部・鶏冠・集解〕
4. ③ 「けいかんせき（鶏冠石）」の略。
   1. [初出の実例]「松脂を和の琥珀雄黄を鶏冠(ケイク_ハン)と唱ふべしと台命也」(出典：譬喩尽（1786）五)

と‐さか【鶏冠】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 鶏の頭上にある肉質の扁平な突起で、正中線上に直立し上端は掌状に分かれる。雄性ホルモンの作用で発達する。さか。とりさか。けいかん。〔色葉字類抄（1177‐81）〕
   1. [初出の実例]「其ゑほしにては、鶏のとさかに似ぬに、それがし聟入した時のゑほしが有かさう」(出典：虎明本狂言・鶏聟（室町末‐近世初）)
3. ② 「とさかのり（鶏冠海苔）」の略。〔日葡辞書（1603‐04）〕
   1. [初出の実例]「冬枯の礒に今朝みるとさか哉〈芭蕉〉」(出典：俳諧・炭俵（1694）下)
4. ③ 歌舞伎の鬘の一つ。女形で、前髪の毛を切り、左右に割ったもの。滝夜叉、切られお富など悪婆の役に用いる。

とっ‐さか【鶏冠】

1. 〘 名詞 〙
2. ① ＝とさか（鶏冠）①
   1. [初出の実例]「凡雄雞 とっさか也」(出典：杜詩続翠抄（1439頃）一四)
3. ② 「とっさかのり（鶏冠海苔）」の略。
   1. [初出の実例]「塩一駄・大豆一俵・とっさか一袋・酒一筒給候」(出典：日蓮遺文‐南条兵衛七郎殿御返事（1281）)

とり‐さか【鶏冠】

1. 〘 名詞 〙 ＝とさか（鶏冠）①〔和玉篇（１５Ｃ後）〕

出典　精選版 日本国語大辞典

改訂新版　世界大百科事典

鶏冠 (とさか)
comb

ニワトリなど，ある種のキジ目の鳥の頭上にある肉質の突起で，肉冠ともいう。とさかは三次性徴のひとつで，雄でよく発達している。組織的にみると，外側の表皮層と数層の真皮層より成り，通常の皮膚が分厚く隆起したものといえる。色は一般に赤く，その機能は主としてディスプレーと種の認識に役だつ。ニワトリでは単冠，クルミ冠，エンドウ冠，バラ冠などの形状が区別され，それらは遺伝子の単純な支配によって生ずることが知られている。
執筆者：森岡 弘之

出典　株式会社平凡社「改訂新版　世界大百科事典」

普及版 字通

【鶏冠】けいかん（くわん）

鶏のとさか。〔本草綱目、鶏〕附方、冠血、三年の雄鷄なる良し。

字通「鶏」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

鶏冠
とさか
comb

ニワトリなど，キジ科の一部の鳥にみられる頭上の肉質の冠状突起をいう。形状によって，単冠，ばら冠，えんどう冠などが区別される。その機能は雌雄の識別やディスプレイのためのもので，雌より雄でよく発達しており，発達の程度は性ホルモンの影響を受ける。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

デジタル版 日本人名大辞典+Plus

鶏冠 けいかん

?－?　江戸時代中期の俳人。
もと江戸吉原の遊女。魚貫の門人となる。宝暦(1751-64)のころ死去。別号に蕉雨庵,不寝坊など。

出典　講談社

動植物名よみかた辞典　普及版

鶏冠 (ケイトウ・カラアイ)

学名：Celosia cristata
植物。ヒユ科の一年草,園芸植物,薬用植物

出典　日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典　普及版」