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鹿島信仰 かしましんこう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鹿島信仰
かしましんこう

茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮を中心とした信仰。『常陸国風土記』にも香島天 (かしまあめ) の大神 (おおがみ) が天から降りて祀られたと記してある。上代に行われた東北地方への遠征はすべてこの鹿島の神威を背景に行なったため,武神軍神として広く崇拝された。一般には安産の神としても知られる。鹿島にゆかりのある民間行事では,夏の鹿島送り,鹿島人形や関東各地に普及している鹿島踊りが著名である。なお,旅の出発を「鹿島立ち」ともいうが,これは奈良時代防人 (さきもり) が旅の安全を大社に祈ってから出発したことに由来する。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

鹿島信仰

現在の茨城県鹿嶋市がある場所は古代、日本の東端で、海に臨むことから、神聖な地とされた。鹿島神は、船を自由自在に操る霊力を持つ航海神で、蝦夷との戦いの際は強さを象徴する軍神としてあがめられた。秋田県や千葉県には「鹿島さま」と呼ばれるわら人形を村の境界に立てて悪疫退散を願う信仰もある。鹿島神を「流す」行事を、民俗学者・宮田登は「悪神を送り出す代わりに幸運をもたらしてくれるという両義性が特徴」(平凡社大百科事典)と考察した。

(2011-08-12 朝日新聞 朝刊 秋田全県 2地方)

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百科事典マイペディアの解説

鹿島信仰【かしましんこう】

鹿島神宮は武甕槌(たけみかづち)神をまつるが,記紀や《常陸(ひたち)国風土記》にはこの祭神について記載がない。関東武士が防人(さきもり)として九州へ旅立つ前に,ここに祈って出発し,これを〈鹿島立ち〉といった。

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世界大百科事典 第2版の解説

かしましんこう【鹿島信仰】

〈かしま〉という地名は,鹿島,神島と表記され,全国的に分布しているが,共通するのは,海辺に近く,海と陸地との接点あるいは境界領域に位置していることである。陸地のさいはての地域あるいは最先端の場所と意識されている。その中でも茨城県鹿島地方は,古代より,大和朝廷を中心とした畿内の地域からみると,東国の涯(はて)とみなされていた。そうしたイメージを基礎として,鹿島には二つの民俗信仰が形成された。一つは,鹿島の地にさまざまの漂着神がたどりつき霊力を発揮したというものである。

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大辞林 第三版の解説

かしましんこう【鹿島信仰】

鹿島神宮への崇敬およびそこから派生したとされる信仰。武神信仰、障さえの神信仰、疫神信仰、男女の相性を占う常陸帯神事、吉凶を占う鹿島の事触れなど信仰形態は多岐にわたる。また、境内にある要石かなめいし伝説にもとづく地震封じ信仰も有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鹿島信仰
かしましんこう

鹿島大神(おおかみ)および鹿島神社に対しての信仰。常陸(ひたち)(茨城県)の鹿島神宮を中心として、福島県、宮城県の海岸地帯など全国的に広がっている。鹿島大神は元来は航海の守護神であったらしいが、別に武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)といわれ、武事をつかさどる神として朝廷の厚い崇敬を受けた。また、藤原氏が当地へ勢威を伸ばしてくると、その氏神として尊崇された。当地は東国開拓の重要な根拠地にあったので、分祠(ぶんし)である鹿島御児(みこ)神社が海岸沿いに祀(まつ)られ、その分布により大和(やまと)朝廷の北進の跡を知ることができる。後世、鹿島信仰が普及した事由の一つは、これを民間に広めた神人(じにん)集団がいたからである。彼らは、鹿島神宮にいた「物忌(ものいみ)」とよばれる巫女(ふじょ)の託宣を民間に伝えて歩いた。これが「鹿島の事触(ことぶ)れ」の始まりである。事触らは烏帽子(えぼし)に浄衣(じょうえ)を着て幣帛(へいはく)を担ぎ、稲作の豊凶などを告げて民間を巡回したが、のちには悪霊退散の歌舞を行い、鹿島送り、鹿島流し、鹿島人形、鹿島踊などの宗教習俗や神事芸能を流布せしめた。[三橋 健]

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