紅鉛鉱(読み)こうえんこう(その他表記)crocoite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「紅鉛鉱」の意味・わかりやすい解説

紅鉛鉱
こうえんこう
crocoite

クロム酸第一鉛の鉱物元素クロムは、1797年ロシアのウラル地方ベレソフスクBeresovsk産の本鉱物から初めて発見された。自形は美しい赤橙色の単斜柱状結晶で、菱形(ひしがた)の断面と錐(すい)面をもつ。おもに深所生成の鉛鉱床の酸化帯中にほかの鉛二次鉱物と共存して産するほか、超塩基性岩中に単独で脈をなすこともある。日本での産出は知られていない。原子配列は、モナズ石と同構造である。英名は色の類似からギリシア語サフランを意味するクロコスに由来する。

加藤 昭]



紅鉛鉱(データノート)
こうえんこうでーたのーと

紅鉛鉱
 英名    crocoite
 化学式   Pb[CrO4]
 少量成分  ―
 結晶系   単斜
 硬度    2.5~3
 比重    6.10
 色     深橙黄,赤,黄
 光沢    金剛~ガラス
 条痕    橙黄
 劈開    二方向にやや明瞭
       (「劈開」の項目を参照
 その他   可切性あり

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紅鉛鉱」の意味・わかりやすい解説

紅鉛鉱
こうえんこう
crocoite

PbCrO4 。単斜晶系の鉛とクロムの鉱物。紅 (べに) 鉛鉱ともいう。硬度 2.5~3,比重 6.0。深紅色または紅黄色。ガラス光沢。柱面に平行な条線の発達した柱状結晶。元素のクロムが発見 (1797) されたのはこの鉱物からである。

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