くろぼくど
黒ボク土
Kuroboku soils
(1)松井健(1964)が,腐植質の厚いA層をもつ土壌に対して提唱した成帯内成土壌型。下北半島の火山灰土壌がアロフェン・遊離アルミナのほかにかなりの層状粘土鉱物を含むことから,前者は表層での風化(脱塩基・脱珪酸)の進行で生成し,腐植化度の高い腐植集積に主要な役割を果たすが,後者はそれと平行して,この地域の成帯成土壌(褐色森林土)に働くシアリット化のために生成したとみなし,褐色森林土的土壌生成過程と,草原植生・母材の相互作用によるアロフェン・遊離酸化物の生成と植物集積過程が重なる点を重視した。林業試験場(現,森林総合研究所)の「黒色土壌」,東海地方の「黒ぼく」土壌など非火山灰起原の土壌も含めるため,母材アロフェンに重点を置く名称を避けた。類縁土壌型との関係と母材の火山性,非火山性の別で土壌亜型を設定。下北の火山灰土壌は褐色森林土火山性亜型に,東海の「黒ぼく」は赤黄色土的非火山性亜型に,腐植質アロフェン土は典型的火山性亜型に分類される。
(2)東海地方の「黒ぼく」土壌の暫定的名称。腐植に富む厚いA層をもつ非火山灰起原の土壌で,粘土組成も層状珪酸塩粘土鉱物を主とし,A層での腐植化度の高い腐植の集積・ばん土性は脱鉄処理可溶のアルミナに関係し,火山灰土壌のようにアロフェンをほとんど含まない。草原植生下,わずかに湿性の環境で生成したと推定される。林試の「黒色土壌」に相当。
執筆者:加藤 芳朗
参照項目:火山灰土壌
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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黒ぼく土
くろぼくど
日本の北海道、東北、関東、中部地方、九州の過半の台地や丘陵地を覆っている団粒構造の発達した黒色の土壌。古くから農民の呼び名として使われてきた。有機物(腐植)に富む表土が真っ黒で、保水性も高く畑作に適している。しかし粘質のため耕具に付着したり、無機成分とくにリン酸分が欠乏していることが多く、降雨時のぬかるみや乾燥時の土粒飛散などをおこす。最近の地質時代、すなわち第四紀後半、とくに現在みられる各地の台地や丘陵地の地形が生じてから以後の、火山活動による火山灰の堆積(たいせき)に伴って、その地表付近に蓄積した腐植がこの土壌をつくった。それは、降下火山灰の風化物と考えられるアロフェンなど活性アルミニウム成分(リン酸吸着活性が高いアルミニウム成分)が多量に含まれること、また未風化の火山ガラスが黒色腐植層の下部に認められることでわかる。日本各地には、火山ガラス起源の非結晶性粘土(アロフェン、イモゴライトなど)ではなく、結晶性の粘土鉱物を主体とする同様の黒い粘質の土壌がみられる。これらは非アロフェン質黒ぼく土もしくは準黒ぼく土とよばれ、黒ぼく土と区別されている。国際的には火山灰起源のものとみなされたものについてアンドソルの呼称が普及している。
[浅海重夫・渡邊眞紀子]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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黒ボク土 (くろぼくど)
火山灰に由来し,多量の有機物を含む黒色の表層土と明るい褐色の下層土をもつ土壌に対し,日本でひろく使われている分類名。表土の色が黒く,乾いた土を踏むとボクボクする感じからつけられた〈黒ボク〉という俗称に由来する。四国地方では同じ理由でオンジと呼ばれる。狭義の火山灰土壌とほぼ同義に使われる。化学的に活性なアルミニウムに富み,そのため乾いた土は軽く,リン酸の吸着力が強いなど独特の物理的・化学的性質をもつ。日本の黒ボク土の面積は約550万haで国土の約15%を占め,また畑地・樹園地合計220万haのうち半分が黒ボク土である。諸外国ではアンドソイルAndo soilとかアンドソルAndosolなどと呼ばれるが,〈アンド〉は日本語の暗い土を意味する〈暗土〉に語源をもつ。アンドソルの地球陸地に占める比率は0.8%弱で,それに比べると火山国である日本は黒ボク土の占める比率がひじょうに高い。
→火山灰土壌
執筆者:三土 正則
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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黒ボク土【くろぼくど】
腐植に富み黒色で軽くてきめの荒い表層土と明るい褐色の下層土をもつ土壌に対し,日本でひろく用いられている分類名。古くから全国各地の農民の間で用いられている俗称に由来。火山灰土の表層が多く,黒ニガ,黒ノッポとも呼ばれるが,非火山灰起源のものもある。
→関連項目黒泥土
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内の黒ボク土の言及
【火山灰土壌】より
…こうみてくると火山灰土壌といっても,その性質には発達段階や気候条件によりかなり幅があることがわかる。そこで前述の特性をもつ火山灰土壌の典型というべきものを,土壌分類では[黒ボク土]と呼ぶ。
[特殊な火山灰土層]
火山灰土壌の下層には,特徴ある外観,産状を示す土層が挟まれていることがあり,日本ではその多くは古くよりいろいろな俗名で呼ばれている。…
【草原】より
…そのほか河原,砂丘,湿地などにも草原はみられる。日本に多い火山灰地帯では,アロフェンという粘土鉱物が土壌の主体となり,腐植はたまるがやせている黒ボク土という土壌が生成され,遷移の途中相のススキ草原がみられることが多い。
[人工の草原]
自然植生の草原以外に,人為の加わった代償植生としての草原がある。…
【土壌型】より
…これに対して普通のケイ酸塩岩石およびケイ質岩を母岩として生成したA‐C断面の土壌,すなわち腐植に富む黒色の表層の直下に,岩石の破片からなるC層がくるような断面形態をもつ土壌はランカーとよばれる。[黒ボク土]の大部分は火山灰などの火山放出物を母材とする成帯内性土壌型で,亜寒帯南部から湿潤亜熱帯モンスーン地域の火山周辺に分布している。日本はとくに黒ボク土の分布が広く,火山灰土壌,腐植質アロフェン土などともよばれる。…
【鳥取[県]】より
…冬季,標高900m以上の山地では2mを超す積雪があり,火山斜面の多くは絶好のスキー場となる。大山から噴出した多量の火山灰は,広く県下の台地などを被覆しており,その表層は黒ボク土化している。黒ボク土は酸性のため土壌改良を必要とし,また風害や干害を受けやすかった。…
※「黒ボク土」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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