黒人取締法(読み)こくじんとりしまりほう(英語表記)Black Codes

山川 世界史小辞典 改訂新版 「黒人取締法」の解説

黒人取締法(こくじんとりしまりほう)
Black Code

ブラック・コードともいう。アメリカの南部諸州奴隷制廃止後の1865~66年に制定した法律。白人優位の体制を維持し,解放黒人を不自由労働者として土地に緊縛することを意図したもの。黒人は選挙権はなく,陪審員になれなかったのみならず,人種間の結婚を禁止され,黒人の土地所有,武器所有,夜間外出,裁判での証言などにも大きな制限が加えられた。共和党急進派の再建政策はこの法律を廃止したが,再建期終了後,再び南部に復活する。最終的な撤廃は1964年制定の公民権法を待たねばならない。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「黒人取締法」の意味・わかりやすい解説

黒人取締法
こくじんとりしまりほう
Black Codes

広義には,17世紀以来の対黒人奴隷立法をも含むが,狭義には南北戦争後,1860~70年代のアメリカ南部諸州で制定された黒人の強制的就業,諸権利の否定を規定した州法をいう。南部諸州は戦後の農業労働力不足を補うため黒人労働力の確保を目的とする州法を定め,ルイジアナ,ミシシッピ,サウスカロライナなどの諸州では,白人によって黒人はすべて労働を強制されなければならないことを規定して,実質上の奴隷制度継続をはかった。連邦議会は「再建法」を南部に課してこの傾向を阻止しようとしたが,南部地主層の抵抗のため実質的効果は少なかった。

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旺文社世界史事典 三訂版 「黒人取締法」の解説

黒人取締法
こくじんとりしまりほう
Black Codes

南北戦争後,憲法修正第13条で解放された黒人に対して南部諸州が設けた制限法。「ブラックコード
選挙権に財産・読書資格を付帯させ,公共施設交通機関利用で白人との差別を残存させた。特にルイジアナ・サウスカロライナ・ミシシッピ州における黒人の強制雇用は,事実上奴隷制度を存続させるものであった。

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