出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
長野県北部、新潟県境近くにある山。標高2053メートル。典型的なコニーデ型火山をなし、信濃富士(しなのふじ)ともよばれる。北に妙高山、南に飯縄(いいづな)山と並び、その秀麗な山容は昔から北信五岳の一つといわれてきた。妙高戸隠連山国立公園に含まれる。二重式火山で、旧火口には七ツ池、鏡池などの湖沼があり、中央部に小さな火口丘がある。最高部は外輪山で、ここからは火打山、焼山、戸隠山、飯縄山、苗場山、岩菅山、北アルプスなどが一望できる。また、眼下に野尻(のじり)湖がある。山麓(さんろく)はスキー場や別荘地が造成されている。山頂には黒姫山弁才天の石の祠(ほこら)がある。これは702年(大宝2)役行者(えんのぎょうじゃ)が初めて登頂し、火口湖で弁才天を拝し、1020年(寛仁4)に恵心僧都(えしんそうず)が黒姫弁才天像を刻み、仏体を祀(まつ)ったもの。登山には黒姫高原(東山麓)から登る小泉山道、東登山道の二つと、大橋林道または古池登山口から新道経由のもの二つ、さらに西登山口からのもの一つの計5本の登山道がある。いずれも健脚向き。
[小林寛義]
新潟県糸魚川市(いといがわし)青海(おうみ)地区にある山。標高1221メートル。一帯は全山石灰岩に覆われたカルスト地形の発達地域で、通称「青海カルスト」とよばれている。なかでもその主峰をなす黒姫山のマイコミ平は石灰岩の厚さ2000メートルに及び、奴奈川(ぬなかわ)姫の誕生地といわれる千里洞の大鍾乳洞(しょうにゅうどう)や、大小のドリーネ、ウバーレ群が並ぶ典型的なカルスト地形の宝庫である。古くから電気化学工業青海工場や明星セメントなどの化学工業が盛んで、自然破壊が激しく、問題になっている。
[山崎久雄]
長野県北部,野尻湖西方に位置する二重式成層火山。標高2053m。美しい円錐形をなし〈信濃富士〉とも呼ばれる。長径1.5km,短径1kmのほぼ楕円形のカルデラがあり,大池,七ッ池(鏡池)などの火口原湖がみられる。火口原西方には円頂丘をなす中央火口丘の小黒姫山がある。東および南山麓の柏原高原と呼ばれるすそ野は1946年以降入植開拓され,標高800~900mにまで開拓がおよんだ。ソバ,大豆などが栽培されたが,53年の冷害を契機に酪農中心の農業地域へと変貌した。また山麓にはスキー場,ゴルフ場が立地し,別荘地としても開発されている。
執筆者:中村 三郎
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