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鼠径ヘルニア そけいヘルニアinguinal hernia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鼠径ヘルニア
そけいヘルニア
inguinal hernia

いわゆる脱腸。腸が鼠径部に脱出したもの。外側鼠径窩から鼠径管を通って浅鼠径輪より皮下に出る外鼠径ヘルニア (間接ヘルニア) と,内側鼠径窩から浅鼠径輪に直接出る内鼠径ヘルニア (直接ヘルニア) とがある。大半は外鼠径ヘルニアで,乳幼児期までに発症する先天性のものが多い。内鼠径ヘルニアは局部の腹壁の緊張低下によって起るもので,高齢者に好発する。常に腸がヘルニア嚢内に脱出したままであったり,かんとんヘルニア (嵌頓ヘルニア) となった場合は,手術が必要となる。

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百科事典マイペディアの解説

鼠径ヘルニア【そけいヘルニア】

鼠径靭帯(じんたい)の上方で鼠径部の皮下に出るヘルニア。全ヘルニアの中で最も多く,脱腸というのはおもにこれ。出現部位により内側・外側ヘルニアの2種に分類される。
→関連項目大腿ヘルニア

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世界大百科事典 第2版の解説

そけいヘルニア【鼠径ヘルニア inguinal hernia】

内臓の一部がまた(股)のつけ根(鼠径部)の腹壁の弱い部分から皮下に脱出するため,鼠径部や陰囊,陰唇が腫瘤状にはれる病気。ヘルニアのうちで最も多い。脱出臓器は腸管大網,卵巣などであるが,小腸の脱出が多いことから,俗に脱腸ともいう。子どもに多くみられ,とくに男児に発生しやすく,女子の4倍にも達する。泣いたり,いきんだりして腹圧がかかったときに起きやすく,脱出時には軽い不快感や鈍痛を伴うことがある。腹圧がかからなくなると自然に内臓は腹腔内にもどるが,手で圧迫して押しもどすこともできる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鼠径ヘルニア
そけいへるにあ
inguinal hernia

鼠径部(男子では陰茎外側、女子では大陰唇)に腹腔(ふくくう)内臓器が脱出し、腫瘤(しゅりゅう)を形成するものをいう。厳密には外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニアに区別されるが、後者はまれである。脱出した臓器をヘルニア内容、その臓器を包む腹膜をヘルニア膜、腹壁からの脱出口を内ヘルニア門、外ヘルニア門という。成人では腹壁の弱くなった老人や重労働者、婦人などによく発症する。一方、小児では例外なく胎生期からある腹膜鞘(しょう)状突起が開存(かいぞん)してヘルニア膜となり、発症する。外鼠径ヘルニアがほとんどを占め、小児外科で取り扱う疾患のうち、もっとも頻度が高い。治療は手術以外に完治を望めない。成人の場合は腹壁の脆弱(ぜいじゃく)性に起因し、小児では腹壁でなく鞘状突起の開存に原因を求められるため、同じ病名であってもその治療法は根本的に異なる。すなわち、成人では腹壁の補強がもっともたいせつであるが、小児では腹膜鞘状突起の高位切断のみで目的が達せられる。小児で腹壁補強を行うと、精管動脈の血行障害をおこして睾丸萎縮(こうがんいしゅく)をきたすこともある。
 鼠径ヘルニアを放置すると、ヘルニア内容となった腸管がヘルニア門で絞扼(こうやく)され、腸閉塞(へいそく)または血行障害をおこし、腸管壊死(えし)をきたす危険がある。そのため、新生児であっても、できるだけ早く手術を行うべきであり、小児外科の進歩がそれを可能にした。以前よく用いられていたヘルニアバンドは効果もなく、弊害も多いので薦められない。[戸谷拓二]

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世界大百科事典内の鼠径ヘルニアの言及

【ヘルニア】より


[ヘルニアの種類]
 よくみられるヘルニアには次のようなものがある。外ヘルニアとしては鼠径(そけい)ヘルニアが最も多く,ヘルニアの代表的疾患で,子どもに多くみられるが,成人に発生することもある。臍(さい)ヘルニアumbilical herniaは,弱い部分であるへそに腸がとび出す,いわゆる〈出べそ〉で,乳幼児に多くみられる。…

※「鼠径ヘルニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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