月山 貞一(2代目)(読み)ガッサン サダイチ

20世紀日本人名事典 「月山 貞一(2代目)」の解説

月山 貞一(2代目)
ガッサン サダイチ

昭和・平成期の刀匠 日本美術刀剣匠会会長。



生年
明治40(1907)年11月8日

没年
平成7(1995)年4月1日

出生地
大阪府大阪市

本名
月山 昇

別名
初名=貞光,刀銘=貴照

主な受賞名〔年〕
新作名刀展正宗賞(第3回・4回・5回)〔昭和42年・43年・44年〕,紫綬褒章〔昭和48年〕,勲四等旭日小綬章〔昭和54年〕

経歴
代々刀匠を業とする家系に生まれ、9歳から手習い、13歳頃から鍛刀の道に入り、18歳で工芸展で受賞して以来、刀作りの道に本格的に取り組む。祖父貞一、父貞勝も明治・大正時代名匠だった。大正13年上京、中央刀剣会に入会し、養成工として修業。昭和4年より伊勢神宮式年遷宮御料太刀、御神宝太刀制作を担当。18年大阪陸軍造幣廠軍刀鍛錬所責任者。41年2代目貞一を襲名。43年月山日本刀鍛練道場を開く。46年人間国宝に認定される。53年全日本刀匠会理事長。伝統的な五ケ伝の鍛法中、相州正宗、貞宗や大和手搔派の包永山城粟田口派のほか、長船長光、一文字派などの作刀法を得意とした。著書に「日本刀に生きる」。


月山 貞一(1代目)
ガッサン サダカズ

明治・大正期の刀匠



生年
天保7年2月11日(1836年)

没年
大正7(1918)年7月11日

出生地
近江国犬上郡須越村(滋賀県)

旧姓(旧名)
塚本

別名
通称=弥五郎,号=雲龍子

経歴
7歳の時、大坂刀工・月山貞吉の養子となり、養父より鍛法を学ぶ。明治4年廃刀令で作刀をやめるが18年再開、39年勅によって備前一文字の伝を継ぐ。45年内務省の命で伊勢大廟奉献の太刀を鍛え、大正14年宮内省の命で御大典用太刀を上納。互の目丁子(ぐのめちょうじ)刀、彫物・銘字に秀でた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「月山 貞一(2代目)」の意味・わかりやすい解説

月山貞一
がっさんさだかず
(1836―1918)

幕末から明治の刀工。近江(おうみ)(滋賀県)出身の刀工、月山貞吉の養子で、父とともに大坂で活躍した。名を弥五郎といい、号を雲竜子という。作品は備前(びぜん)伝、相州(そうしゅう)伝、山城(やましろ)伝、大和(やまと)伝に通じ、また古作奥州月山鍛冶(かじ)の特色ある綾杉(あやすぎ)肌の鍛えを行った。1876年(明治9)の廃刀令後は辛酸をなめたが、1906年(明治39)に帝室技芸員に任命される。刀身彫刻の巧者でもあり、竜、不動尊、旗鉾(はたほこ)などがある。初期の作刀には身幅の広い豪壮なものが多く、晩年には軍刀の需要に応じた細身のものが多い。子に月山貞勝、貞勝の子である月山貞一(さだいち)(1907―95)は、前銘を貞光・貴照といい1971年(昭和46)重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

[小笠原信夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

朝日日本歴史人物事典 「月山 貞一(2代目)」の解説

月山貞一

没年:大正7(1918)
生年:天保7(1836)
幕末明治期の刀工。近江国(滋賀県)犬上郡須越村の塚本七郎兵衛の子に生まれ,7歳のときに大坂槍屋町に住した刀工月山貞吉の養子になった。養父より鍛刀を学び,14歳には作品を作ったという。明治9(1876)年の廃刀令によって,多くの刀工はその職を失ったが,貞一は作刀活動を続け39年4月には帝室技芸員に任命された。月山は平安時代に興った出羽(山形県)の月山鍛冶の末裔といい,綾杉肌という独特の鍛えに特徴を見せるが,貞一もその祖風をよく継承したほか,相州,備前など各流派の作風も熟している。また刀身彫刻も上手で,倶利迦羅,不動明王などを自身の作品に施している。

(原田一敏)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「月山 貞一(2代目)」の解説

月山貞一(2代) がっさん-さだいち

1907-1995 昭和-平成時代の刀匠。
明治40年11月8日生まれ。祖父の初代貞一(さだかず),父貞勝にまなぶ。昭和4年から伊勢神宮式年遷宮(せんぐう)の御料太刀などを制作。41年2代貞一を襲名。新作名刀展で正宗賞を3回受賞した。46年人間国宝。平成7年4月1日死去。87歳。大阪出身。本名は昇。著作に「日本刀に生きる」。

月山貞一(初代) がっさん-さだかず

1836-1918 明治-大正時代の刀工。
天保(てんぽう)7年2月11日生まれ。月山貞吉の養子。明治39年備前一文字の鍛刀の技をつぎ,帝室技芸員となる。大正元年伊勢神宮奉納の刀をつくった。大正7年7月11日死去。83歳。近江(おうみ)(滋賀県)出身。本姓は塚本。号は雲竜子。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「月山 貞一(2代目)」の解説

月山 貞一(2代目) (がっさん さだいち)

生年月日:1907年11月8日
昭和時代;平成時代の刀匠
1995年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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