然然(読み)そうそう

精選版 日本国語大辞典 「然然」の意味・読み・例文・類語

そう‐そう さうさう【然然】

[1] 〘副〙
① 「そう」を重ねて、繰り返し、または継続を表わす。そんなにそんなに。そのようにずっと。
※天草本伊曾保(1593)パストルの事「カイソダツル ヒツジヲ コロイテ イノチヲ ツイダ。Sǒsǒ(サウサウ) スルホドニ、ヤウヤウ ヒツジヲモ コトゴトク クイツクシ」
② (あとに打消の語を伴って) それほどに。そんなに。「そんなにいつまでも」「そんなにたびたび」の意で使われることが多い。
浄瑠璃生玉心中(1715か)上「そうそうは見ていられず」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「それんばかぢゃ足らないから一円呉れろと云ふんですよ。然(サ)う然うは方図が無いと思って」
[2] 〘感動〙
① 今まで忘れていたことを思い出した時に用いる語。
※めぐりあひ(1888‐89)〈二葉亭四迷訳〉二「待て頂戴よ! たしか、参りました。さうさう、参りましたとも」
② 相手のことば同意する気持を表わす語。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一「知らんと云った事のない先生が、さうさうあすこは実に名文だといった」

さ‐さ【然然】

〘副〙 (副詞「さ」の重なったもの)
① 同意を表わす。そうそう。さようさよう。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「『これはなににすべき物ぞ』とて見すれば『ささ、これしていとようつかうまつるべかめり』」
② 具体的な叙述を省略し、内容の存することだけを形式的に指示する。しかじか。
蜻蛉(974頃)下「今はかたちをもことになしてむとてなん、ささのところに月ごろはものせらるる」

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デジタル大辞泉 「然然」の意味・読み・例文・類語

しか‐じか【然】

《古くは「しかしか」か》
[副](「云云」とも書く)繰り返して言わないとき、わかりきったことをいちいち言わないとき、または必要のないことなので省略するときなどに、その代わりに用いる。かようかよう。かくかく。うんぬん。「彼はこれこれ然然理由で出席できないという」
[感]あいづちを打つときに用いる語。そのとおり。そうそう。
「―、いと興あることなり」〈大鏡・序〉
[類語]斯く斯くこうこうこれこれかようこんなこういうこのようかかるこう斯くなになにかなにかしらなになに

さ‐さ【然】

[副]《副詞「さ」を重ねた語》しかじか。具体的な叙述を省略するときに用いる。
「―の所よりなりけりと聞き給ひて」〈かげろふ・中〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「然然」の読み・字形・画数・意味

【然然】ぜんぜん

自然のさま。

字通「然」の項目を見る

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