行円(1)(読み)ぎょうえん

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「行円(1)」の解説

行円(1) ぎょうえん

978-1047 平安時代中期の僧。
天元元年生まれ。はじめ蔵人所(くろうどどころ)雑色(ぞうしき)をつとめる。近江(おうみ)(滋賀県)の天台宗園城(おんじょう)寺で出家。京都勧修(かじゅう)寺の心誉に師事し,灌頂(かんじょう)をうける。祈雨修法(ずほう)にすぐれたという。長久4年法橋(ほっきょう)。永承2年1月8日死去。70歳。俗名は源国輔。

行円(3) ぎょうえん

1159-? 鎌倉時代の能面師,楽器製作者。
平治(へいじ)元年生まれ。大和(奈良県)信貴山(しぎさん)朝護孫子(ちょうごそんし)寺の僧とみられる。嘉禄(かろく)2年井伊家につたわる笙(しょう)1管(彦根城博物館蔵)を製作。のち大阪誉田(こんだ)八幡宮に現存する舞楽面2面,東京国立博物館蔵の笙3管もつくった。

行円(2) ぎょうえん

?-? 平安時代中期の僧。
豊後(ぶんご)(大分県)の人。寛弘(かんこう)元年(1004)京都一条に行願寺をたて,法華(ほっけ)八講,釈迦(しゃか)講などをひらき,法華信仰をひろめる。つねに鹿皮をまとっていたので革聖(かわひじり),革上人とよばれた。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の行円(1)の言及

【開発】より

…播磨国小犬丸保の〈土民等〉が〈計略を廻らし,功力を尽し〉て池を築造したのは後者の代表例であり,こうした農民的共同開発が中世村落成立の重要な基盤となった。それに対して前者は,比較的大規模な開発であり,若狭国国富保の開発領主となった太政官厨家小槻隆職,丹波国波々伯部保の開発領主として田堵等の組織者となった感神院大別当行円,摂津国猪名荘内の塩入荒野を開発せんとした鴨御祖社禰宜鴨県主祐季など下級貴族・寺僧・神官なども開発領主となっている。しかし何と言っても開発領主の典型は,平安時代以来の開発によってその本領を確立し子孫に伝領した在地領主である。…

【革堂】より

…正称は霊麀山(れいゆうざん)行願寺。当寺は平安中期の1004年(寛弘1),行円が創建した。行円は叡山の横川(よかわ)の聖(ひじり)で,常に鹿の皮衣をまとい,巷で庶人を教化した。…

【波々伯部保】より

…丹波篠山(ささやま)盆地の東部(現,兵庫県多紀郡篠山町)に位置した京都祇園感神院の社領。1098年(承徳2)感神院大別当行円が,獲得したばかりの私領の田地25町8反余をもとに立保。この私領は,当地の田堵(たと)ら13人が感神院の封物を納める代りに,先祖相伝の田地を共同で行円に譲り渡したものであった。…

※「行円(1)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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