慢性腸炎(読み)まんせいちょうえん(その他表記)Chronic Enterocolitis

家庭医学館 「慢性腸炎」の解説

まんせいちょうえん【慢性腸炎 Chronic Enterocolitis】

[どんな病気か]
 慢性の下痢(げり)、腹痛、血便(けつべん)などを主症状とするものです。一部の感染性腸炎、炎症性腸疾患、膠原病(こうげんびょう)による腸炎などがあります。
[原因]
 代表的な感染性腸炎は結核菌(けっかくきん)による腸結核(ちょうけっかく)です。原虫(げんちゅう)によるものには、赤痢せきりアメーバによる腸アメーバ症があります。
 炎症性腸疾患には潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)(「潰瘍性大腸炎」)、クローン病(「クローン病」)などがあります。
 腸炎をともなう膠原病には、全身性エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、全身性強皮症(きょうひしょう)、関節リウマチなどがあります。
 ほかにアミロイドーシスベーチェット病、放射線性腸炎などがあります。
[検査と診断]
 感染性腸炎では便中細菌の培養や、虫卵(ちゅうらん)、便の顕微鏡検査が行なわれます。
 血液検査は、炎症や栄養障害の程度、原因の検索に必要で、白血球(はっけっきゅう)の増加、炎症反応の高値、貧血(ひんけつ)などの異常はなんらかの炎症性疾患の存在を示します。また、自己抗体(じここうたい)の検索は膠原病の存在の手がかりとなります。
 注腸、大腸内視鏡検査は病気の鑑別病変の範囲などを知るのに重要なものです。とくに大腸内視鏡検査は、病変部から組織をとって(生検せいけん))、病理診断ができるので有用です。
 腸結核の好発部位は回腸(かいちょう)、盲腸(もうちょう)、上行結腸(じょうこうけっちょう)で、輪状または帯状の潰瘍ができるのが特徴です。内視鏡での生検で結核菌が証明されれば診断がつきます。
[治療]
 腸結核では、イソニアジドリファンピシンエタンブトールまたはストレプトマイシンによる三者併用療法が行なわれます。腸アメーバ症にはメトロニダゾールの内服が有効です。膠原病による腸炎は、原疾患の治療が主体になります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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