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潰瘍性大腸炎 かいようせいだいちょうえんulcerative colitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

潰瘍性大腸炎
かいようせいだいちょうえん
ulcerative colitis

大腸,特に直腸に生じる慢性潰瘍性炎症。真の原因は不明であるが,自己免疫病説をはじめ,感染説,アレルギー説などいろいろの説がある。 30歳以下の成人に多い。おもに下痢が起り,便には粘液,膿,粘血便が混る。るい痩,貧血,低蛋白血症などが続発する。腹部触診で圧痛を伴う腸索を触れる。症状は一進一退で長期にわたるものが多い。大腸癌の発生頻度が高くなる。治療としては,肉体的,精神的安静のほかに,サラゾスルファピリジン,副腎皮質ホルモンなどが有効である。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

潰瘍性大腸炎

免疫が過剰に反応して大腸粘膜に炎症が起き、腹痛や下痢を繰り返す難病。2011年度には13万3千人が認定された。10代後半から30代前半の発症が多い。原因ははっきりせず、根治は難しい。難病ではあるが、治療薬によって、7割の人は症状がコントロールできているとのデータもある。安倍首相も09年に日本でも承認された薬「アサコール」で、症状が抑えられる「寛解(かんかい)」という状態が続いているという。

(2012-12-27 朝日新聞 朝刊 2社会)

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デジタル大辞泉の解説

かいようせい‐だいちょうえん〔クワイヤウセイダイチヤウエン〕【潰瘍性大腸炎】

大腸の粘膜に潰瘍びらんができる難病。直腸から結腸にかけて連続的に病変が広がり、下痢や腹痛が頻繁に起こる。炎症性腸疾患の一。厚生労働省の特定疾患に指定されている。原因として自己免疫反応の異常などが考えられているが詳細は不明。薬物で炎症を抑える内科的治療が行われる。重症の場合は結腸全摘手術などの外科的治療が行われる。UC(ulcerative colitis)。

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栄養・生化学辞典の解説

潰瘍性大腸炎

 大腸の非特異性炎症で,慢性で原因はよくわかっていない.大腸の粘膜が侵され,びらん,潰瘍と進む.下痢,血便をみる.

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家庭医学館の解説

かいようせいだいちょうえん【潰瘍性大腸炎 Ulcerative Colitis】

◎粘血便(ねんけつべん)、下痢(げり)、腹痛が主症状
[どんな病気か]
 おもに大腸の表層粘膜(ひょうそうねんまく)をおかし、しばしばびらん(ただれ)や潰瘍(かいよう)を形成する原因不明の炎症です。乳児から高齢者まで全年齢層にみられますが、とくに10歳代後半から20歳代にピークがあります。反復性または持続性の粘血便、下痢、腹痛などの症状がありますが、症状が激しいときには発熱をともなうこともあります。
 発症はふつうゆっくりで、潜行性に慢性に発病します。まれに急激な発熱と粘血便で発症することがあります。
●病態と分類
 病変は直腸から連続して腸管全体にわたり、その病変の部位と広がりによって、全結腸炎型、左側結腸炎型、直腸炎型に分けられます。
 また、発作と軽快をくり返す再発寛解(かんかい)型、長期間持続する慢性持続型、発作が1回だけの初回発作型、激しい症状で発症し全身に合併症が出て重症になる急性電撃型に分けられます。
 重症度は、下痢の回数、肉眼でわかる血便、発熱、頻脈(ひんみゃく)、貧血(ひんけつ)の程度、血沈(けっちん)の値などから判断されます。とくに症状が激しく重篤(じゅうとく)なものは激症と呼ばれ、専門病院での入院治療が必要です。
●合併症
 さまざまの合併症がありますが、局所性と全身性に分けられます。
 局所合併症には大腸の狭窄(きょうさく)、大出血、穿孔(せんこう)、中毒性巨大結腸症(コラム「中毒性巨大結腸症」)、がん化などがあります。
 全身的合併症には膵炎(すいえん)、硬化性胆管炎(こうかせいたんかんえん)、口内炎、結節性紅斑(けっせつせいこうはん)、虹彩毛様体炎(こうさいもうようたいえん)などがあります。
[原因]
 感染、アレルギー、自律神経(じりつしんけい)障害、血管炎などの説がありますが、詳しいことは不明です。遺伝的要素に免疫異常(めんえきいじょう)が加わるためというのが、最近の考え方です。
[検査と診断]
 診断は、臨床症状、注腸X腺検査、大腸内視鏡検査をふまえて行なわれます。内視鏡検査では組織を採取して病理検査も行なわれます。また、症状が似た別の病気との鑑別も大事で、そのような病気に細菌性赤痢(さいきんせいせきり)、アメーバ赤痢、大腸結核(だいちょうけっかく)などの感染性腸炎、虚血性大腸炎、薬剤性大腸炎、クローン病があります。
 潰瘍性大腸炎の人を大腸内視鏡で検査すると、腸粘膜に発赤(ほっせき)、浮腫(ふしゅ)、出血しやすさがみられます。炎症の強さによりますが、顆粒状(かりゅうじょう)変化、びらん潰瘍などがみられることもあります。症状が一時的にやわらいだときは正常者と同様の所見になることもあります。
 潰瘍が広範囲にできると、残存した粘膜がポリープ状になることがあり、偽(ぎ)ポリポーシスと呼ばれます。
 血液検査を行なうと、炎症を反映して、白血球数(はっけっきゅうすう)や血沈(けっちん)、CRP(C反応性たんぱく)値が上昇しています。また、下血(げけつ)によって貧血が進むと、赤血球数(せっけっきゅうすう)と血色素のヘモグロビンの数が減ります。摂食不良になると、栄養状態を示す総たんぱく、アルブミン、コリンエステラーゼ、コレステロールの値が低下してきます。
◎心身の安定がたいせつ
[治療]
 まず、心身の安静を保つことが重要です。過労を避け、十分な睡眠をとって、からだの安静をはかるだけでなく、精神的ストレスを避けることもたいせつです。
●食事療法
 高たんぱく、高カロリー、高ビタミンで、消化のよいものをとり、アルコール、香辛料(こうしんりょう)などの刺激物や脂肪は制限します。
●薬物療法
 サラゾスルファピリジン(サラゾピリン)、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイドの併用あるいは単独使用が基本です。ステロイドは、服用、注腸、坐薬(ざやく)などで使用しますが、重症例では、血管造影をして、ステロイドを腸の動脈内に注入する方法(動注療法)が行なわれることもあります。
 サラゾピリンの有効成分は5アミノサリチル酸(5‐ASA)と考えられているため、5‐ASA製剤が使用されることもあります。
 ステロイドの効果が不十分であったり、減量すると病状が悪化して使用をやめられない場合はアザチオプリン、メルカプトプリン(6MP)などの免疫抑制薬(めんえきよくせいやく)が使用されることもあります。また、状況に応じて整腸剤、止痢薬(しりやく)、精神安定剤、抗アレルギー薬なども併用されます。
●手術療法
 手術法がたいへん進歩したため、人工肛門(じんこうこうもん)をつくらずに大腸を切除することが可能となりました。穿孔(せんこう)がおこった場合や大出血を合併した場合は緊急手術が必要です。薬物療法が無効なとき、何度も悪化をくり返すときも手術が検討されます。内科と外科の専門家どうしが、よく相談して決定されます。がんを合併した場合も手術が必要です。
 日常の注意として、精神的ストレスが病状を悪化させることがあります。十分な休養をとり、心身の安静を保つことが大事です。受験、妊娠、出産などが症状悪化の引き金となることがありますが、前述した日常生活上、治療上の注意をきちんと守れば心配することはありません。全身症状が出たり、重症化した場合は入院治療が必要です。

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世界大百科事典 第2版の解説

かいようせいだいちょうえん【潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis】

大腸の,主として粘膜と粘膜下層に炎症がみられ,しばしば糜爛(びらん)や潰瘍を形成する特発性非特異性の瀰漫(びまん)性炎症性疾患。30歳以下の成人に多いが小児や50歳以上のものにもみられ,しばしば慢性となり,悪化と軽快をくり返す。欧米でいう特発性直腸結腸炎idiopathic proctocolitisは本症を指す。病因は,細菌やウイルスなどの感染説,酵素障害説,食餌アレルギー説,自己免疫説,心身症説,遺伝素因説などがあるが,決定的なものはない。

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知恵蔵miniの解説

潰瘍性大腸炎

大腸の粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍ができる大腸の炎症性疾患のこと。原因不明で、1973年、旧厚生省より特定疾患に指定された。おもに粘血便や下痢から自覚することが多いが、重症化すると、発熱、体重減少、腹痛、貧血などの症状を現す。米国での罹患数は約100万人。日本では、平成21年度の患者数は約11万人で、毎年およそ8000人程度増加している。発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳だが、それ以外の年齢層の患者も増えている。一時的に良くなっても再発しやすいことが特徴。治療は薬物による内科的治療を主とするが、重症の場合は外科的治療となることもある。2012年9月、自民党新総裁に選出された安倍晋三元総理も総理時代に罹患した。

(2012-09-28)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

潰瘍性大腸炎
かいようせいだいちょうえん

大腸粘膜に広範な潰瘍やびらん(浅い潰瘍)ができる原因不明の慢性炎症性腸疾患である。近年では自己免疫疾患と考えられ、クローン病とともに特定疾患(難病)に指定されている。日本では、まれな疾患であったが、1970年代から急速に増加し、今では普通にみられる疾患となった。もっとも発症の多い年代は20歳代だが、小児や50歳代にも発生する。重症度により、軽症、中等症、重症、劇症に分けられるが、多くの患者は症状が軽くなる緩解(かんかい)と症状が重くなる増悪(ぞうあく)を繰り返しながら長期間の経過をとる。病変の広がりから全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型、区域大腸炎型などに分けられる。
 症状は、下痢、血便、粘血便、貧血、腹痛などのほか発熱、食欲不振、体重減少、尿路結石、結膜炎、関節炎などの腸管外合併症を伴うこともある。また、腸管の合併症として出血、穿孔(せんこう)、狭窄(きょうさく)、巨大結腸症がある。
 診断は、慢性の粘血便や下痢の患者では内視鏡検査、注腸X線検査、さらには生検によって潰瘍性大腸炎の特徴的な組織所見を認めることでなされる。
 治療は、食事や日常生活の指導に始まり、薬物としては5-ASA製剤や副腎皮質ステロイドを主体にして免疫抑制剤や白血球除去療法などが行われる。さらに重症例や腸管合併症、内科療法の効果が認められない場合には外科手術が行われる。また、10年以上の長期経過例では大腸癌(がん)の発生リスクが高く、大腸内視鏡によって癌発生をチェックする定期的検査が必要である。[安富正幸]

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