Base Air Defense Ground Environmentの略で,航空自衛隊の自動警戒管制組織。航空自衛隊は,日本の領空内およびその周辺の空域の飛翔体(ひしようたい)を常時監視しており,敵味方の識別が不明な飛翔体や,敵性機と思われる飛翔体に対しては,要撃機を指向したり,状況によっては地対空ミサイルを指向する態勢をとっている。BADGEシステムは,これらのための目標探知・追尾,識別,兵器割当て,要撃管制,情報の伝達・表示などの各機能をコンピューターを使用して自動化したものであり,沖縄地方を除く日本のほぼ全域のレーダー・サイト,要撃戦闘機部隊,地対空ミサイル部隊と各級指揮所をデータ通信網等でつなぎ,防空用警戒管制情報処理システムを構成している。
BADGEシステムは,従来の手動警戒管制組織に比べ,目標情報処理時間の短縮,同時多数目標管制能力の向上,人的過誤の防止および防空指揮中枢部における指揮統制機能の向上などに大幅な改善がみられた。領空に接近する飛翔体が,レーダーに探知されると,レーダー・サイトの追尾用コンピューターが追尾を開始し,その速度,進行方向,高度などの算出結果および敵味方識別装置からの応答を飛行情報として防空指令所に伝送する。防空指令所は,この情報と登録されている飛行計画情報などから,敵か味方か,許可された飛行か否か等を識別すると同時に,これらの情報を,上級指揮所および隣接する防空指令所に伝送し,敵味方不明機に対しては,要撃機を指向するなどの所要の処置をとる。この際,最適な要撃機発進基地の選択,要撃機に対する飛行コースの指示等は,コンピューターによって迅速,的確に算出される。
BADGEシステムは,F104要撃機の有効利用の一環として,1964年から68年にかけて建設および所要の試験検査が行われ,69年3月に本格的な運用が開始された。しかしながら,80年代に入り,多様化し,質的にも向上した航空脅威および急速に進展する作戦推移への対応,また,日本の防空用に導入される新兵器の効率的運用を図るには,BADGEシステムの情報処理能力等が不十分であることが指摘され,83年,5ヵ年計画で新システムへの換装に着手した。新システムは,BADGEシステムに比べ,情報処理能力の向上,指揮統制機能の自動化および新兵器等との連接性の向上などをねらいとしたものである。
執筆者:小田 康夫
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…なお,徽章とも書くが,徽は旗じるしの意。また,金属製のものをメダル,布製のものをリボン,胸ポケットなどに縫いつけるものをワッペン(ドイツ語で紋章の意)などと一般に呼びならわしているが,英語のバッジbadgeはこのいずれをもさす。勲章紋章【加藤 秀俊】。…
…のちの湾岸戦争(1991)で明らかになるように,軍事のニューメディア化は,この時代の流行になっていた。ちなみに,日本電気をはじめとする日本の主要エレクトロニクス企業は防衛庁の発注を受けて84年から新バッジ(BADGE)・システム(新自動警戒管制組織)の生産を開始したが,その中央コンピューターの契約金だけでも961億円であり,これはINSの実験モデルの総工費の10倍近くに及ぶ。その意味で,日本でニューメディアが人々の生活レベルに普及しはじめるのは,〈ニューメディア〉という言葉がすたれはじめてからだった。…
…対外的にはAir Self Defense Forceと称し,略称ASDF。1954年,自衛隊法により陸上自衛隊,海上自衛隊と並んで創設され,政府の公式見解では憲法上の制約により軍隊ではないとされているが,各国空軍と同じ任務をもち,同じような編成,装備になっており,国際法上は軍隊として取り扱われている。
【任務】
航空自衛隊は,防衛庁長官の指揮を受け,陸上自衛隊,海上自衛隊と協力し,侵略に対して日本を防衛することをおもな任務とする。…
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年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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