NDB(non-directional radio beacon、無線航法援助施設)(読み)えぬでぃーびー

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

NDB(non-directional radio beacon、無線航法援助施設)
えぬでぃーびー

無指向性無線標識施設のことで、non-directional radio beacon略称。航空機の航法を援助する中・長距離用の無線航法援助施設の一つで、ホーミングビーコンともいう。NDBからは中波または長波の無指向性の電波を全方向に発射しており、航空機では無線方位測定機ADF)によりこの電波を受信し、自動的に電波の到来方向、つまり発信局の方位を知ることができる。発信局に向かって飛行する場合、航空機の針路をこの方位にとれば、予定のコース上を飛行することができる。また二つ以上の発信局からの電波を受信して、ただちに現在位置を知ることもできる。

 NDBの電波は1020ヘルツで変調された200~1750キロヘルツの周波数を使用しており、発信局の識別は、毎分約7語の速度で送信される国際モールス符号の2文字または3文字によって行われる。有効到達距離は通常、昼間では100~500キロメートル、夜間は空間波の影響で無線方位測定機の誤差が大きくなるため、短くなる。また悪天時の空電などにより無線方位測定機に誤差を生じる場合もある。航空路用のNDBは送信機出力も有効範囲も大きいが、飛行場付近のNDBには比較的小さな出力のものが使用される。ILS計器着陸装置)のマーカービーコンと組み合わせてコンパスロケーターとよばれる。NDBは、無線航法援助施設として従来主流であったが、現在では電波の特性精度および機能の面で優れているVOR超短波全方向式無線標識施設)がNDBにとってかわりつつある。

[青木享起・仲村宸一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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