unidentified flying objectの略語で,地球外から飛来するともいわれる飛行物体の総称。〈ユーエフオー〉ともいう。通常,〈未確認飛行物体〉と訳される。1947年6月24日,アメリカの実業家アーノルドK.Arnoldが西海岸ワシントン州のレイニア山付近上空を自家用機で飛行中,高速で飛翔する九つのなぞの物体を目撃したのが最初とされ,その形状を〈受け皿(ソーサー)〉にたとえたことから,〈フライング・ソーサーflying saucer〉という呼び名が生まれた。〈空飛ぶ円盤〉はその訳語だが,日本でも第2次大戦中から独自の目撃例があり,その際にこの名称が発案されたと主張する向きもある。空飛ぶ円盤が地球外より飛来した異星人の宇宙船であるという説は,49年にアメリカの航空ジャーナリスト,キーホーD.E.Keyhoeが唱えたのが公的には最初であって,これはただちに人々の興味をあつめ,空飛ぶ円盤すなわち異星の宇宙船という概念がひろまりはじめた。やがて,アメリカの神秘哲学者アダムスキーG.Adamski(1891-1965)が,カリフォルニア砂漠に円盤が着陸し,そこから出てきた金星人と会見したという内容の《空飛ぶ円盤実見記》(1953)を出版するや,これと同工異曲の体験を語る〈コンタクティー(宇宙人会見者)〉が続出した。これらの人々およびそれを信じる一群の人々は,科学的研究を標榜する民間の研究団体とは別に,一種の擬似新興宗教的な活動を続けて現在に至っている。正体不明のまま目撃例がふえるにつれ,その形状も円盤形とは限らないことが明確になり,52年当時米空軍UFO研究部の主任だったルッペルトE.J.Ruppelt大尉が提唱した〈未確認飛行物体UFO〉という用語が,現在は一般に用いられるようになった。
アメリカ空軍は,47年末より秘密裏にその正体究明に着手していたが,公的にはその存在を否定しつづけ,69年には,研究を委託した民間の科学者グループ〈コロラド大学UFO調査委員会〉が出した否定的結論を根拠に,表向きにはその研究部門を閉鎖した。これを不服とする民間の研究団体が共同で政府に資料の公開を迫り,裁判に付されたが,機密事項がからんでくるため全面公開は困難なようである。民間での研究がもっとも盛んなのは,やはりアメリカで,本格的なグループ約200が研究に取り組んでいる。日本でも定期的に機関誌を発行している団体が約30を数える。どういう異星人が,どこから来ているのか,またその推進機構や動力源は何かなど,実例と空想をとりまぜての議論が提出され,また超大国が極秘裏に開発をすすめている軍事兵器であるなど,〈異星の宇宙船説〉以外の可能性もいろいろとりざたされているが,どれもいまひとつ説得力に欠け,また実在の決定的証拠といえるものも出ていない。自然科学者の中にも,熱心な肯定論者がいるが,多くは否定的な態度をとっている。しかし単なる気象現象や光学的錯覚として説明しきれない事例が数多くあることもまた事実である。
なお,スイスの精神病理学者ユングは,その著書《現代の神話》(1958,邦訳《空飛ぶ円盤》)の中で,人間の心の最下層にある人類共通のイメージ内容(元型)がUFO実見報告の上に反映していると主張し,その形状(円,楕円など)を全体性のシンボルと考えた。
執筆者:柴野 拓美
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…これらの人々およびそれを信じる一群の人々は,科学的研究を標榜する民間の研究団体とは別に,一種の擬似新興宗教的な活動を続けて現在に至っている。正体不明のまま目撃例がふえるにつれ,その形状も円盤形とは限らないことが明確になり,52年当時米空軍UFO研究部の主任だったルッペルトE.J.Ruppelt大尉が提唱した〈未確認飛行物体UFO〉という用語が,現在は一般に用いられるようになった。 アメリカ空軍は,47年末より秘密裏にその正体究明に着手していたが,公的にはその存在を否定しつづけ,69年には,研究を委託した民間の科学者グループ〈コロラド大学UFO調査委員会〉が出した否定的結論を根拠に,表向きにはその研究部門を閉鎖した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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