ACジャパン(読み)えーしーじゃぱん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ACジャパン」の意味・わかりやすい解説

ACジャパン
えーしーじゃぱん

公共広告を発信する民間団体。英語名称Advertising Council Japan。ACジャパンは、広告の仕組みやその影響力を社会貢献に生かしていこうという考え方に対して、一般企業、メディア、広告会社など114社が賛同し、1971年(昭和46)に関西公共広告機構として設立された。社会の重要課題について公共広告を通じて提起するという、アメリカの広告協議会Advertising Council(AC)の活動に触発されて、サントリー社長(当時)の佐治敬三(さじけいぞう)(1919―1999)が設立を提唱した。1974年に社団法人公共広告機構として認可され、東京、大阪など全国8か所に事務局を置く体制が整えられた。2009年(平成21)に現名称に変更。2011年に公益社団法人として内閣府に認可された。団体の運営は、2016年3月時点で、1065社の正会員と賛助会員48社、個人会員94人の会費のみを資金源としており、公的な支援は受けていない。全国8か所の各事務局の活動は、企業の社会貢献活動の一環として参加する企業ボランティアが中心となって担っている。

 公共広告の活動はキャンペーンとよばれ、7月から始まる1年間を年度とし、テーマを掲げて定期的なキャンペーンが全国と地方で行われている。また、ほかにも災害支援などの臨時キャンペーンや、海外で活動する団体との国際共同キャンペーンなどが実施されている。

 ACジャパンの公共広告は、これまで数々の広告賞を受賞している。たとえば、1981年度の「子供は、あなたのコピーです」が、カンヌ国際広告映画祭で銀賞を受賞。1999年度の「ジコ虫、増えてます!」が、日本新語流行語大賞を受賞している。2011年の東日本大震災の際には、翌2012年にかけて「思いやり・助け合い」や「この国に活気を」をテーマに、全国でキャンペーンを展開した。

[編集部 2016年8月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ACジャパン」の意味・わかりやすい解説

ACジャパン
エーシーじゃぱん
Advertising Council Japan

広告のもつ力によって,公共の問題に対する意識を高め,よりよい社会づくりに貢献する目的で設立された機関。サントリー(→サントリーホールディングス)社長の佐治敬三の提唱によって,1971年に関西公共広告機構として大阪で発足した。1974年に社団法人公共広告機構に改組し,2009年現名称に変更。2011年公益社団法人となる。民間企業の会員社と,一般の個人会員によって運営される。会員社は資金を提供し,広告会社(→広告代理業)は原稿コマーシャル CMの制作を行ない,マス・メディア紙面や放映時間を無償提供するかたちで参画する。児童福祉老人福祉社会福祉,障害者福祉,献血,自殺防止,省資源エイズ,公共マナーなどの諸問題を取り上げ,意見広告の一種といえるキャンペーンを行なっている。会員は 1132社,個人会員 98人(2014.3現在)。

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