DTP(読み)でぃーてぃーぴー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「DTP」の意味・わかりやすい解説

DTP
でぃーてぃーぴー

机上型の電子編集システム。デスクトップ・パブリッシングdesktop publishing略称。デスク上で原稿作成から編集、レイアウト製版、コピーが行えるパソコン・システムまたは小型ワークステーションをいう。一般の印刷物と同程度の仕上がりのものができる。レイアウトされた紙面は、印刷出力するか電子メディアに記録する。従来、出版社と印刷所で行っていた作業が、個人またはオフィスレベルで行えるため、利用価値は大きい。文章、図表はキーボードなどで入力し、写真、絵などもコンピュータに取り込んで拡大または縮小しながら好きな位置にレイアウトできる。文字の字体や図表の形式も豊富で、大きさなどは自由に選べる。印刷出力は、少量の場合はレーザープリンターなどで行うが、大量の場合は製版装置で製版し、本格的な印刷装置を用いる。記事入力から紙面の作成までが容易であるため、一般の印刷物のほかに、学会などの刊行物や新聞紙面製作などに積極的に利用されている。また、DTPソフトウェアとは、紙面上の処理精度を高め、高品質のレイアウトを可能にし、高精度のプリンターを制御するためのページ記述言語(PDL:Page Discription Languageの略。アドビシステムズ社のPostScript(ポストスクリプト)が主流)を組み込んだものをいい、InDesign(インデザイン)やQuarkXPress(クォークエクスプレス)などがある。

 DTPは、1984年に登場したアメリカのアップル・コンピュータ社(現、アップル社)製のパソコンであるマッキントッシュが、画期的なウィンドウやアイコンでデザイナーや編集者の支持を得たのをきっかけとし、翌1985年、マッキントッシュのプラットフォーム(システムの基本となる環境)上で動作するアルダス社(現、アドビシステムズ社)のDTPソフトウェアであるPageMaker(ページメーカー)と、アドビシステムズ社のPDLが開発され、アルダス社の創業者ポール・ブレナードPaul Brainerd(1947― )が提唱したことにより広まった。1986年(昭和61)に日本語対応のマッキントッシュが上陸するとともに、日本でも印刷業者に普及することになった。

[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「DTP」の意味・わかりやすい解説

DTP
ディーティーピー

パーソナル・コンピュータを使って本を作成すること。デスクトップバブリッシング desktop publishingの略で,低コストで使いやすいことが利点。パソコン上で原稿(文字原稿,写真,図版・イラスト原稿を含む)の編集レイアウトから,組版(→コンピュータ組版),レーザープリンタなどによる印刷までを行なう。高解像度プリンタやイメージスキャナなどの周辺機器画像処理を行なうソフトウェアやレイアウト用のアプリケーションなどの技術の進歩により印字品質も向上し,より複雑な作業を手軽に実現できるようになった。

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