就寝中に呼吸が止まる状態を繰り返して熟睡できず、日中に強い眠気のため生活や業務に支障を来す睡眠障害。2003年2月に居眠り運転した山陽新幹線の運転士がSASと診断されて注目されるようになった。器具を指にはめて睡眠時の血中酸素量を測るなどして簡易検査することができる。寝る際にマウスピースをつけたり、鼻につけたマスクから空気を送りこんだりする治療法がある。
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出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、レム、ノンレム期(レム睡眠とは眼球が速く動く時期で、筋肉を休める眠り、ノンレム睡眠とは眼球は動かず大脳を休める眠り)の両方に現れる病態です。
医学的な無呼吸の定義では、10秒以上の口と鼻での気流の停止です。この結果十分な睡眠がとれず、日中の眠気、集中力の低下、活力の
また心血管系の合併症(不整脈、心不全、高血圧、脳血管障害)や糖尿病が多くみられ、さまざまな問題を引き起こしてきます。
睡眠時の無呼吸が主な病態であるため、睡眠中の呼吸動態のモニターが必須となります。
睡眠中のさまざまな生理学的指標を測定するポリソムノグラフィー(後述)によって検査が行われ、これにより睡眠時無呼吸症候群は、①呼吸運動が停止するために無呼吸となる中枢型、②呼吸運動は持続しているが、上気道がふさがるために無呼吸となる
中枢型は呼吸中枢(
睡眠時の症状として、いびき、無呼吸、寝相が悪いなどがあります。日中の
いびきは、睡眠時に発生する粘膜の振動音で、睡眠時無呼吸症候群を疑う重要な症状です。肥満、アルコール摂取時、睡眠薬などのある種の薬物の服用、アレルギー性鼻炎や
いびきが強く、いびきの後に呼吸が止まるようであれば、かなり疑いが濃いといえます。若いころに比べて体重増加が著しい場合にも注意が必要です。
自己判断の参考として表17のような問診があります。
ポリソムノグラフィーでは睡眠中の脳波、眼電図、筋電図、口と鼻の気流、胸腹部の呼吸運動、心電図、酸素飽和度などを終夜にわたってモニターします。無呼吸が一晩に30回以上か、1時間あたりの無呼吸の回数が5回以上の場合に診断が確定します。あるいは呼吸運動が低下し、かつ酸素飽和度が低下する時には、無呼吸と同等な病的意義があると考えられます。
肥満に対しては体重の減少を図ることが第一で、多くの場合はこれだけで病態の改善が期待できます。上気道の閉塞の原因がアデノイド、
睡眠時無呼吸症候群に対しては、
薬物療法により呼吸を促進させることもあります。
千田 金吾
睡眠時無呼吸症候群とは、
このような睡眠の質的低下によって、日中に過度の眠気、居眠りが起こります。30~60歳の男性では4%、女性では2%くらいの頻度でみられます。
気道の閉塞は、睡眠に伴う筋の緊張低下から、舌がのどの奥に落ち込むことによって起きます。肥満や浮腫(むくみ)、鼻・
数十秒から時には3分に及ぶ気道閉塞による呼吸停止と呼吸再開時の大きないびきが反復して観察されます。無呼吸中は、胸や腹は呼吸しようと動いていますが、上気道の閉塞によって呼吸はできません。
起床時には無呼吸による浅眠化や中途覚醒により、
診断には、日中の強い眠気、夜間の不眠(とくに中途覚醒)、大きないびきと呼吸停止などの症状の確認に加えて、睡眠ポリグラフ検査による無呼吸の確認が必要です。
現在最も広く使われている治療法は、
内山 真
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
睡眠障害の一つ。1976年、アメリカの精神科医ギルミノーChristian Guilleminaultらにより「7時間の睡眠中に10秒以上持続する無呼吸が30回以上認められるもの」あるいは「睡眠1時間当り5回以上の無呼吸が認められるもの」と定義された。その後、胸と腹壁の運動が50%以上減弱する低呼吸の状態も考慮に入れ、90年以降は「1時間当り10回以上の無呼吸あるいは低呼吸がある場合」にも睡眠時無呼吸症候群として取り扱われるようになった。99年にはアメリカ睡眠医学会が低呼吸も条件に入れ、診断基準の見直しと提案を行った。
原因は閉塞(へいそく)性、中枢性、混合性の3種類に分類されている。閉塞性は口、鼻からの換気は停止するが、胸と腹壁の運動は停止しない。中枢性は呼吸中枢からの呼吸の伝達がなされない場合におこり、呼吸運動が停止し胸と腹壁の運動も停止、これに伴う口、鼻からの換気も停止した状態である。混合性は閉塞性と中枢性の呼吸運動の停止が混在している。
無呼吸の具体的な原因として、閉塞性では鼻腔(びくう)に要因がある場合、疾患としては鼻中隔彎曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、肥厚性鼻炎などがある。咽頭(いんとう)に要因がある場合ではアデノイド、口蓋扁桃肥大(こうがいへんとうひだい)があり、これらの疾患はとくに小児ではいびき、無呼吸をおこしやすくする。また小顎症(しょうがくしょう)は舌根部(舌の付け根)の狭窄(きょうさく)をきたす。巨人症などホルモン分泌の異常は舌の肥大や咽喉頭(いんこうとう)の狭窄の原因となりうる。しかし、いびき、睡眠時無呼吸の重要な原因となっているのは、肥満による上気道の狭窄である。これは外見上首が太く短い人や、顎(あご)の下に脂肪がみられる人に多い。このように肥満が問題となるが、その際の肥満の指数は(BMI body mass index=体重(kg)÷身長(m)2)25以上とされている。中枢性の原因としては呼吸中枢の脳幹部の異常があげられ、また、睡眠薬、精神安定薬の大量の使用も原因となりうる。
睡眠中の無呼吸、低酸素血症と高炭酸ガス血症の病態は高血圧、不整脈、心不全、脳血管障害、狭心症、心筋梗塞(しんきんこうそく)の発症などにも影響するといわれている。
症状は日中に眠気、傾眠傾向が出現し仕事や学業に支障をきたす。自動車の運転中に交通事故をおこすケースもあり社会的にも問題となっている。
診断は終夜ポリソムノグラフ(睡眠ポリグラフ)検査により、睡眠中の無呼吸の回数、血中酸素飽和度、無呼吸低換気指数、その他脳波、眼球運動、筋電図、鼻・口呼吸、胸腹壁運動などの記録をする。簡易型のアプノモニター(睡眠モニター)での検査も可能である。単位時間当りの計測値が無呼吸指数(AI)10以上、無呼吸低換気指数(AHI)20以上、最低酸素飽和度(SpO2)85%以下の場合は適切な治療が必要となる。
治療は肥満ではまず体重の減量につとめる。睡眠中は仰臥(ぎょうが)位よりも側臥(そくが)位がよい。マウスピースの装着、経鼻持続陽圧呼吸(nasal CPAP)などの方法がある。手術は気道の狭窄部位を拡大する目的で行われ、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)、鼻中隔彎曲矯正術、アデノイド切除術、口蓋扁桃摘出術などが行われる。
[高山幹子]
『高山幹子著『いびきのことがよくわかる本』(1998・小学館)』▽『睡眠障害の診断・治療ガイドライン研究会、内山真編『睡眠障害の対応と治療ガイドライン』(2002・じほう)』
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(今西二郎 京都府立医科大学大学院教授 / 2007年)
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