社会福祉事業を担うことを目的に設立された非営利法人。特別養護老人ホーム、高齢者向け集合住宅(ケアハウス)、認可保育所、児童養護施設、障害者施設、更生保護施設、病院、診療所の運営のほか、自殺予防を目的とした電話相談を行う「いのちの電話」など、幅広い福祉事業を行っている。とくに介護保険のサービス事業者として中核的な存在である。主務官庁は都道府県であるが、事業が二つ以上の都道府県にまたがる場合は厚生労働省が所管する。社会福祉法に基づき、福祉を担うための公共性の高い法人と位置づけられており、事業に責任をもつ6人以上の理事が必要であることや、資産や不動産を保有していることのほか、事業の継続性を求められるなど、認可の条件は厳しい。さらに、行政の定期監査を受けなければならず、収益の外部への配分は禁止されている。法人税上は公益法人にあたり、法人所得税や固定資産税などが原則非課税となる税制優遇措置を受けている。また高率の補助金を受けるなど国の手厚い保護下にある。厚生労働省の「平成24年度福祉行政報告例の概況」によると、2012年度末時点の社会福祉法人数は1万9407(主務官庁を都道府県とするもののみ)。また、「平成24年社会福祉施設等調査の概況」によると、2012年(平成24)10月時点で活動中の社会福祉施設等5万5881のうち、社会福祉法人が経営する施設は2万4075で、全体の43%を占めている。
経済界は、社会福祉法人が社会福祉事業を独占して民間参入の障害となり、民業を圧迫しているほか、社会保障関係費の肥大化を招いていると批判している。過大な内部留保を抱えた社会福祉法人が多く、一部の理事が社会福祉法人の資金を使い込む私的流用や介護報酬の不正請求なども後を絶たず、自治体が社会福祉法人に改善を命じる行政処分を出すケースが増えている。2014年には政府税制調査会で法人税改革について検討する法人課税ディスカッショングループにおいて社会福祉法人への課税についても議論が行われ、見直しが必要であるとの意見が取りまとめられた。
[編集部]
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