営利を目的とする法人をいい,公益を目的とする公益法人に対する。もっとも,公益法人も収益事業を営むことがあり,この区別は必ずしも明りょうではないが,公益法人にあっては,その利益は法人の目的にのみ使用され構成員にその利益を還元できないところに基本的な差異があるといえる。結局,営利法人は,構成員の利益をはかり構成員に利益を還元するために営利活動を営むものであるから,人を構成要素とする社団法人しか法律上認められない(民法35条)。そして,営利を目的とする社団法人を会社といい,そのうち,商行為を行うことを目的とする社団法人を商事会社,商行為以外の営利活動を目的とする社団法人を民事会社とよぶ(商法52条)。国は,会社活動を活発にするため,設立にあたっては,公益法人のような許可主義をとらず,あらかじめ法律で定めた要件を備えた組織体をつくったとき当然に法人と認めるという準則主義をとっている。そして,要件を満たしているかどうかの審査は,設立登記の際に行われる。
→法人
執筆者:鍛冶 良堅
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営利を目的とする法人のこと。非営利法人(一般社団法人、一般財団法人、公益法人)と対比する概念である。営利とは、事業活動によって利益を獲得し、その得られた利益を構成員に分配することを目的とするという意味である。営利法人は社団法人について認められ、財団法人には認められない。会社は営利を目的とする(会社法105条2項)。相互会社や協同組合は、団体の活動によって構成員に経済的利益を付与することを目的にしており、その活動の結果として剰余金を構成員に分配することがあるとしても、分配すること自体を目的としているものではないので、営利法人には該当しない。
[戸田修三・福原紀彦]
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…株式会社は,株主という人を構成要素とする社団法人ということができる。法人はまた,その目的によって,公益を目的とする公益法人,営利を目的とする営利法人,さらに,構成員の福利を目的とする団体のように,営利も目的としないが公益を目的とするともいえないような中間的な法人(中間法人)とに分けられる。このような中間的団体は,特別法がない限り法人となることはできない。…
※「営利法人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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