(1)Wieling W, Raj SR, Thijs RD. Are small observational studies sufficient evidence for a recommendation of head-up sleeping in all patients with debilitating orthostatic hypotension? MacLean and Allen revisited after 70 years. ClinAuton Res. 2009;19:8-12.
(2)Podoleanu C, Maggi R, Brignole M, et al. Lower limb and abdominal compression bandages prevent progressive orthostatic hypotension in elderly persons: a randomized single-blind controlled study. Am CollCardiol. 2006;48:1425-1432.
(3)Carroll JF, Wood CE, Pollock ML, et al. Hormonal responses in elders experiencing pre-syncopal symptoms during head-up tilt before and after exercise training. J Gerontol A BiolSci Med Sci. 1995;50:M324-M329.
(4)Low PA, Gilden JL, Freeman R, et al. Efficacy of midodrine vs placebo in neurogenic orthostatic hypotension. A randomized, double-blind multicenter study. Midodrine Study Group. JAMA. 1997;277:1046.
(5)Campbell IW, Ewing DJ, Clarke BF. 9-Alpha-fluorohydrocortisone in the treatment of postural hypotension in diabetic autonomic neuropathy. Diabetes. 1975;24:381-384.
(6)Hussain RM, McIntosh SJ, Lawson J, et al. Fludrocortisone in the treatment of hypotensive disorders in the elderly. Heart. 1996;76:507-509.
(7)Hoeldtke RD, Streeten DH. Treatment of orthostatic hypotension with erythropoietin. N Engl J Med. 1993;329:611-615.
出典 法研「EBM 正しい治療がわかる本」EBM 正しい治療がわかる本について 情報
診療で低血圧という場合は、外傷や出血で血圧が急性に低下した場合などを除いて、
血圧が低いことだけでは低血圧症とは呼ばず、立ちくらみ、めまい、全身
低血圧自体は予後がよく、若い時から低血圧の人は長寿の傾向があるのですが、高齢になって若いころと比較して低血圧となり、いろいろな不快な症状が出てきた場合には、重い病気が原因になっている可能性もあるので、かかりつけ医に相談してください。
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起立性低血圧は、低血圧症の症状としてよくみられるものです。立ち上がった時に、立ちくらみ、めまい、時には失神(気を失う)などを含む重い症状を現すことがあり、臨床的には重要な病態です。
通常、立ち上がる時には下肢の静脈系に血液がたまり、心拍出量が減少して血圧が低下しますが、いろいろな代償機転がはたらき、心臓が送り出す血液の量が瞬時に増し、さらに血管が収縮して血圧が維持されます。この代償機転がうまくはたらかない時に、起立性低血圧を起こします。この時、脳に行く血液が一時的に減少することにより、前記のさまざまな症状が現れます。
起立性低血圧は、原因が不明の本態性(ほんたいせい)低血圧症の時にもみられます。しかし、中枢神経系、自律神経系、末梢神経などの神経疾患、心不全などの心疾患や、出血、貧血、脱水などで循環している血液の量が減少した時にも起こるので、詳しい検査と適切な治療が必要になります。
本態性(ほんたいせい)高血圧の場合にも、普段の血圧は高いのに、起立性低血圧が起こることがあります。この原因としては、とくに高血圧のお年寄りでは、自律神経のはたらきが鈍って立ち上がった時の血圧調節がうまくいかないことがあげられます。
降圧薬によって血圧のコントロールがよくなると、起立性低血圧もおさまることが多いのですが、逆に、血圧コントロールが低くなりすぎても起立性低血圧を起こすことがあるので、降圧薬の量をかかりつけ医にうまく調節してもらう必要があります。
お年寄りの場合、低血圧であっても特別な原因が見つからず、従来とほぼ同じ高さの血圧でとくに症状がなく、あるいは症状があっても軽い時は、治療の必要はありません。低血圧の治療の目的は単に血圧を上げるのではなく、症状を改善して生活の質(QOL)を向上することにあります。
治療の基本は一般療法です。たとえば運動療法(軽い運動、理学療法)、食事療法(塩分を多めに摂取する、高蛋白食など)や、
起立性低血圧は、寝ている状態から立つ際に動作をゆっくり行ったり、あるいはいったん座位をとるように心がけることによって、ある程度予防できます。下肢に血液がたまることを防ぐ、弾力ストッキングの着用が有効な場合もあります。
このような一般療法では効果がみられず、症状が強くてQOLの低下がみられる時には薬物治療を行います。薬剤としては、
あるいは、体のなかに水やナトリウム(塩分)をためて、循環している血液の量を増やして血圧を上げる作用のあるミネラルコルチコイド製剤を用いることもあります。そのほか、自律神経調節薬や精神安定薬が有効な場合もあります。
また、降圧薬の過量投与に伴う起立性低血圧では、降圧薬の量をうまく調節することが必要です。お年寄りでは、
いずれにしても、お年寄りでは急な降圧を避けることが大切です。降圧薬は少量から始めて徐々に増量することが必要なので、そのためにはかかりつけ医に日常の様子や家庭での血圧を知らせることが重要になります。
三上 洋
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
正常血圧より低い血圧の状態で,最大血圧が100~110mmHg以下の場合をいう。
低血圧は,本態性低血圧,症候性低血圧,起立性低血圧に分類される。(1)本態性低血圧は原因不明のもので,一般にいわれている低血圧の代表であるが,体質性と考えられ,神経質で自律神経失調をみとめる人に多い。(2)症候性低血圧は,他の病気が原因で血圧が低下した場合にみられ,このなかには急激に低血圧になるもの(出血やショックなど)と,慢性的に血圧が低下するもの(癌や白血病,アディソン病など)が知られている。(3)起立性低血圧は体位性低血圧とも呼ばれ,体位変換の際に血圧を調節する自律神経の働きが障害されて起こる低血圧で,起立時に血圧の低下が現れるのが特徴である。そこで起立時に最大血圧が20mmHg以上下降するものを起立性低血圧としている。起立性低血圧には,原因の明らかな症候性のものと原因不明の特発性のものとがあり,症候性の原因となる病気としてパーキンソン病,脳血管障害,糖尿病などが知られている。
血圧の低下は心臓収縮力の減退,心拍出量の低下,循環血液量の減少,末梢血管抵抗の減少などが関与する。そのほか,外因として温度,環境,食物,風土なども血圧が低くなる現象と関連があり,内因として遺伝関係もみとめられている。
低血圧に悩む人の訴えはさまざまであるが,めまい,立ちくらみ,疲労感,だるさ,頭痛,肩こり,動悸,目の疲れ,食欲減退などの症状を訴えることが多く,健常者に比べてスタミナがなく,すぐ疲れてぐったりしやすい特徴があり,これらの自覚症状は夏季に増悪しやすく,かつ血圧も夏季に低下しやすい。起立性低血圧では,ひどい場合には気分が悪くて立っていると倒れそうになり(失神傾向),また疲労や倦怠が現れやすく,そのような状態が続くと仕事の能率が低下したり,思考力が鈍ったりすることがある。
血圧が正常より低くても,一般に症状の訴えのないものは治療の対象にならない。症候性のものについては原病に応じた療法を行う。本態性低血圧では,栄養面の管理として偏食を避け,かつ食事は規則的に摂取し,カロリー不足にならないように留意し,栄養素のバランスもくずれないように配慮するとよい。三大栄養素とともにビタミンやミネラルも十分に摂取する。さらに適度の運動で体を鍛えることは,栄養をつけることと関連して重要で,とくに皮膚のマッサージ,乾布摩擦により皮膚を鍛えるとよい。また心身のリラックスを図るくふうも必要である。起立性低血圧に対しては薬物として昇圧剤を使用する治療が適し,本態性低血圧では自律神経調整剤や精神安定剤が症状の軽減に役立つことが少なくない。なお低血圧は症状が貧血のそれと似ているが,貧血はまったく別の病気である。
→血圧
執筆者:筒井 末春
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…血圧は一般に上腕で測定するが,血圧は場所によっても違い,下肢の血圧は上肢のそれよりも20~30mmHg高いのが普通である。
[高血圧と低血圧]
血圧は一般に精神的緊張によって上昇し,外来ではじめて医者に測ってもらうときの血圧は,2回以後に測ってもらう血圧よりも高く,病院で測った血圧よりも家庭で測った血圧のほうが低いのが普通である。正常人でも,一過性の血圧上昇はしばしばみられるので,高血圧と診断するには,1回だけの血圧測定によるのではなく,くり返し血圧を測定し,高い血圧がある程度持続することを確認することが必要である。…
…脳幹の橋の下部から延髄上部に分布する延髄網様体に存在し,全身の血管を支配している収縮性交感神経へインパルス信号を送り,常時血管の緊張性や収縮性を制御している。したがって,この中枢が破壊されると,大部分の収縮性交感神経の活動が消失し,血管の緊張性の低下と拡張により低血圧が発生する。中枢の内部構造はよく解明されていないが,電気刺激の効果から機能的に昇圧と減圧の二つの領域に大別される。…
※「低血圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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