エミュー(英語表記)emu
Dromaius novaehollandiae

デジタル大辞泉 「エミュー」の意味・読み・例文・類語

エミュー(emu)

ヒクイドリエミュー科の鳥。全長約2メートル、頭高1.57メートルくらい。現生鳥類ではダチョウに次ぐ大きさで、体形も似る。飛ぶことはできないが、脚が強くてよく走る。オーストラリア分布

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「エミュー」の意味・読み・例文・類語

エミュー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] emu )[ 異表記 ] エミウ エミュー科の鳥。現生の鳥ではダチョウに次いで大きい。脚は比較的短く、足指は三本ある。体高一七〇センチメートル前後。全体に灰褐色で、首のあたりはやや青みを帯びる。翼は退化し、飛ぶことはできないが、走る力が強い。オーストラリアの平原にすみ、果実、草などを食べる。〔舶来語便覧(1912)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「エミュー」の意味・わかりやすい解説

エミュー
emu
Dromaius novaehollandiae

ダチョウ目エミュー科Dromaiidaeの鳥。大型の走鳥類で,現生の鳥ではダチョウに次いで2番目に大きい。全長約2m,頭高1.5~1.8m,体重36~54kg。体は暗灰褐色の粗い毛状の羽毛で覆われ,顔と首側は羽毛がほとんどなく,青色の皮膚が裸出する。くちばしは短く,やや平たい。翼は退化して小さく,飛ぶことはできない。あしゆびは3本。足はじょうぶで,時速40~50kmで走ることができ,また泳ぎもじょうずである。オーストラリアとタスマニアに分布したが,タスマニアとオーストラリア東部の人口密集地帯では絶滅した。しかし,西部オーストラリアでは現在でもかなりたくさんいる。開けた荒地や低木草原にすみ,繁殖期以外は小群で生活している。留鳥で,渡りはしないが,水をもとめて移動することがある。食性は一般に植物食で,各種の種子,葉,草,根などを食べ,とくに果実を好む。しかし,バッタ毛虫や甲虫類も相当に食べている。繁殖は通常秋・冬期(3~8月)が多い。雌雄は同色だが,鳴声が異なる。巣は地面のくぼみに葉や小枝を敷いてつくり,非常にうまく隠してある。卵は暗緑色で,1腹の卵数は7~12個。抱卵期間は58~61日であるが,その間雄がほとんど巣にいて卵を抱き続ける。雛は孵化ふか)後数日で巣を離れ,雛の世話は雌雄でする。大型の鳥としては成鳥になるのは早く,2年目から繁殖を始める。

 エミューの肉は牛肉に似ているといわれ,植民の初期には開拓民の重要な食料となった。また脂肪はランプの油として利用され,卵はオムレツにして食べた。開拓が進むと,この鳥は畑をふみ荒らし,穀物を食べ,柵を倒し,羊のための水を盗むという理由で,害鳥として駆逐されることになった。とくに1932年には,エミュー退治に軍隊が出動し,〈エミュー戦争〉をひき起こした。この戦争はエミューが分散したので完全な失敗に終わり,防柵をはりめぐらして畑を守ることになったが,60年代になってもエミューの殺害には奨励金が支払われていた。現在ではエミューのための保護区が設けられている。動物園でもよく飼われ,容易に繁殖する。エミューにいちばん縁が近いのはヒクイドリである。両者はよく似ているが,ヒクイドリは頭上に角質の突起をもっている。なお,エミュー科にはもう1種,カンガルー島およびキング島のクロエミューD.diemenianusがいたが,この鳥は1800年代の初めに絶滅した。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「エミュー」の意味・わかりやすい解説

エミュー

エミュー科の鳥。全長約2m,体高1.5m。ダチョウに次いで大きく,形も似る。灰褐色で,頭部と首は灰青色。飛べないが走る力は強い。地上のくぼみに草を敷いて7〜18卵を産み,雄が抱卵する。オーストラリアに分布。
→関連項目オーストラリア

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android