地中海もしくは北アフリカを低気圧が東進するとき、これに先だってサハラ砂漠のほうから北アフリカ、マルタ島、シチリア島、南イタリアと吹き渡ってゆく南もしくは南東の風をいう。シロッコということばはアラビア語のsharqすなわち東に由来する。この風は北アフリカに吹くときは乾いていて熱いが、これはシロッコとはいわず土地の人はショムchom(暑)とかアリフィarifi(乾き)とかいい、局地風名としてはカムシンkhamsinという。この風は地中海を吹き渡る間にしだいに湿気を帯び、ヨーロッパ側に達するころには霧や雨を伴う風となる。シロッコは各地域でさまざまな変形した呼び名をもつ。ポルトガルではハルコxaroco、スペインではソラノsolano、ハロックjaloque、ハロックxaloque、フランスではオータンautan、ギリシアではガルビスgarbisという。またローヌ川のデルタ地帯では暖かい雨を伴う南東風をエイセロeisseroとよんでいる。
[根本順吉]
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… サンタ・アナSanta Anaアメリカのカリフォルニア州南部サンタ・アナ地方に吹くフェーンを伴った北寄りの乾熱風。 シロッコscirocco∥sirocco地中海北岸に吹く暖かい南または南東風。サハラ砂漠の熱帯気団が北上し,初めは乾燥しているが海を渡るうちに高温多湿(40℃以上になることがある)となり,霧や雨,ときにはサハラ砂漠の砂塵を伴って吹く。…
…イオニア海に面した西斜面の方ではいくらか雨量が多いため森林が発達しており,北部とくにマケドニア,トラキア地方の平野部では冬の気温も低下して大陸的気候の性格を帯びる。古来,夏の乾燥をもたらすエテジアイ(北風),冬の温暖なシロッコ(南風)などの地方風が住民の生活に影響を与えている。 全人口の95%がギリシア人である。…
※「シロッコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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