どら(読み)ドラ(英語表記)Jean Dorat

デジタル大辞泉 「どら」の意味・読み・例文・類語

どら[名]

怠惰道楽どうらく放蕩ほうとう。また、その人。現在では、多く「どら息子」「どら猫」など、接頭語的に用いる。
「今の―がそれほどな身上を受け取って」〈滑・浮世風呂・前〉

ドラ

ドラゴンから生じた語という》マージャンで、上がりの点数を高めるため、その場の初めに、ある牌をドラ牌ときめておき、その牌が上がりの手牌に含まれていたとき、点数を一牌につき一翻イーファン上げるようにする方法。また、その牌。

どら[感]

[感]決心したり思い立ったりして動作を始める時に発する語。どれ。どりゃ。「どら、見てみよう」

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精選版 日本国語大辞典 「どら」の意味・読み・例文・類語

どら

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 形動ナリ ) 怠惰なさま。道楽放蕩。また、その人。のら。「どら息子」「どら猫」など接頭語的にも用いる。
    1. [初出の実例]「随分油断なく教へざれば、必ず鉦(ドラ)に成(なる)ぞ」(出典:談義本・教訓雑長持(1752)五)
  3. 太刀、刀などの刃の幅の広いもの。だんびら。
    1. [初出の実例]「身も昔は長ふ短ふどらをさいて、殿だ大尽だ共言はれて」(出典:浄瑠璃・加増曾我(1706頃)一)
  4. 僧家で鰹(かつお)をいう。〔評判記難波鉦(1680)〕

どら

  1. 〘 感動詞 〙 何かを決心したり思い立った時などに発することば。「どらどら」と重ねていうこともある。さて。どれ。
    1. [初出の実例]「どらどら真(ほん)に大きな虎だね」(出典:姉と弟(1892)〈嵯峨之屋御室〉四)
    2. 「ドラ寝るとしよう」(出典:置土産(1900)〈国木田独歩〉)

ドラ

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ドラ」の語源は未詳。中国語から、あるいは英語「ドラゴン」からという ) マージャンの懸賞牌をいう。あらかじめ決めておいた牌(ドラ牌)が上がりのときに含まれていれば、普通、一牌につきイーファン(一翻)ずつ点数が上がる。

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改訂新版 世界大百科事典 「どら」の意味・わかりやすい解説

ドラ
Jean Dorat
生没年:1508-88

フランスの古典学者,詩人。ラテン名アウラトゥスAuratus。リモージュ出身パリに出て,〈王立教授団〉の一員J.トゥサンに師事した。家庭教師などを経て,1556年トゥルネブスと並んで〈王立教授団〉の一員に任命され,67年に引退するまで務めた。学術的著作はまったく発表しなかったが,講義では古代ギリシア詩のほぼ全般にわたってそのすばらしさを説き,熱心な聴衆を集めた。その中にはM.A.deミュレやW.カンテールなど古典学者となった弟子ばかりでなく,ロンサールバイフなどの詩人も多数含まれていた。このためドラは後に,〈プレイヤード派〉の祖と目されることになった。アイスキュロスをはじめとして多岐にわたる彼の本文校訂上の業績も,講義に列席した弟子たちの伝承により後世に伝えられたものが多い。
執筆者:


ドラ
Dora

S.フロイトによって1901年に書かれ,05年に《あるヒステリー患者の分析の断片》と題して発表された症例報告中の患者の名。ドラは幼時から夜尿,呼吸困難,偏頭痛,神経性の咳などに悩んできたが,18歳のときに失声,父と争った後の失神発作などが激しくなって,フロイトの治療を受けるに至った。フロイトはドラの分析を通して,父親とK氏夫人との不倫な関係や,彼女に対するK氏の性的誘惑などの契機,疾病利得,ヒステリーの身体症状の基礎をなす身体的対応の概念,症状と性衝動の関係など,ヒステリーの精神病理を解明した。治療はわずか3ヵ月で中断したが,フロイトはその理由として,ドラの感情転移を適切に処理できなかったこと,K氏夫人に対する同性愛的感情の意義に早く気づかなかったことなどを挙げている。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「どら」の意味・わかりやすい解説

ドラ
Dorat(Daurat), Jean

[生]1508. リモージュ
[没]1588.11.1. パリ
フランスのユマニスト,詩人。貴族の出身で早くから教職につき,パリで家庭教師をしているとき,ロンサールを教えた。 1547年コクレ学寮校長に就任,ロンサールやデュ・ベレーらを生徒に迎え,特にギリシア古典への興味,趣好を与えて,プレイヤッドの理論形成に多大の影響を及ぼした。『詩集』 Poematica (1586) を残している。

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とっさの日本語便利帳 「どら」の解説

ドラ

一局ごとに指定され、その牌があると一翻(ファン)加算される牌のこと。ただし、それ自体は役とはならず、ドラのみでは和了(アガ)れない。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

デジタル大辞泉プラス 「どら」の解説

ドラ

フマキラーが販売する分包タイプの殺鼠剤。ネズミの習性である貯食性を利用し、薬剤を巣に持ち帰らせて駆除する。

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世界大百科事典(旧版)内のどらの言及

【フロイト】より

… フロイトは《ヒステリー研究》のほかに五つの詳細な症例研究を発表している。《症例ドラ》(1905。ドラ)では夢分析と感情転移の問題が論じられ,《症例ハンス》(1909。…

※「どら」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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