単子論(読み)たんしろん(英語表記)La Monadologie

精選版 日本国語大辞典 「単子論」の意味・読み・例文・類語

たんし‐ろん【単子論】

[1] 〘名〙 宇宙が単一・不可分の元素的単子からなる合成体であるとする学説。〔普通術語辞彙(1905)〕
[2] (原題monadologie) 哲学書ライプニッツ著。一七一四年頃の著作。単子(モナド)は物質的原子とちがって、延長・形・可分性を持たず、それぞれが全く独立で自律的に変化していくが、宇宙の統一的な相互対応関係は神によって調和するようにあらかじめ定められているとする。モナド論

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デジタル大辞泉 「単子論」の意味・読み・例文・類語

たんし‐ろん【単子論】

モナド論

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「単子論」の意味・わかりやすい解説

単子論
たんしろん
Monadologie フランス語

ライプニッツの哲学上の代表著作。1714~15年ごろ作成された。原文フランス語、1720年ドイツ語訳されて初めて公刊。原文は1840年になってエントマンにより公刊された。90の小節よりなる小編ではあるが、本書には単子(モナド)とよばれる新しい実体概念が導入され、世界は無数の単子から成立しているというライプニッツの形而上(けいじじょう)学が、整理された形で展開されている。なお、「単子論」という表題はライプニッツ自身によるものではない。

[清水義夫]

『河野与一訳『単子論』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「単子論」の意味・わかりやすい解説

単子論
たんしろん
La Monadologie

ドイツの哲学者ゴットフリート・ウィルヘルム・ライプニッツ晩年(1714)の代表作。信奉者ニコラ・レモンのためにフランス語で書かれた表題なしの小論で,『単子論』の名は 1720年にドイツ語訳を出したハインリヒ・ケーラーが与えたもの。全 90節のなかに,いわばライプニッツの哲学の全体が単子(→モナド)の概念を中心に圧縮されたかたちで展開されている。モナドとは,合成体(物体)のなかにある単純な実体であり,その本性は表象と欲求である。そして表象の判明度により次の四つに段階的に区別されるという。(1) 裸のモナド,(2) 動物精神,(3) 理性的精神,(4) 神。

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旺文社世界史事典 三訂版 「単子論」の解説

単子論
たんしろん
Monadologie

ドイツの哲学者・数学者ライプニッツの哲学書。『モナド論』とも呼ばれる
1714年執筆,1840年刊。彼の哲学体系を要約したもの。全実在あるいは宇宙は無数の単子(モナド)からなり,単子は原子のようなものであるが知覚と欲求をもち,それが集まって統一と調和を保っているとし,神による予定調和と,その中における人間の自由意志を説いた。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「単子論」の解説

単子論(たんしろん)
monadology

ライプニッツの哲学理論。モナド(単子)とは事物の究極的要素をなす単純な,広がりを持たない,分割不可能な,能動的な実体であり,おのおの内的法則に従って自己発展し,相互に作用を及ぼさず,しかもそれぞれが独自なしかたで宇宙を表現するよう,神の定めた予定調和の関係にあるとされる。

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