デジタル大辞泉
「油紙」の意味・読み・例文・類語
あぶら‐がみ【油紙】
桐油または荏の油を厚手の和紙に塗ったもの。防水用。桐油紙。油紙。
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あぶら‐がみ【油紙】
※
滑稽本・
浮世床(1813‐23)二「ぺらぺらぺらぺらと油紙
(アブラガミ)へ何
(なん)とかやらだ」
ゆ‐し【油紙】
〘名〙 桐油、または荏油(えのあぶら)を塗った美濃紙。あぶらがみ。
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油紙 (あぶらがみ)
桐油(とうゆ)紙ともいい,西の内紙,美濃紙など厚手の純日本紙に,まずカキ渋を塗って乾燥し,その上に桐油または荏油(えのあぶら)を何回も塗って乾燥したじょうぶな防水紙。これを表にして裏に薄布を合わせた防水衣を桐油合羽(とうゆがつぱ)と名づけて古くから外出着に用い,ただ厚紙のみのものは油単(ゆたん)と呼ばれて荷物の雨覆いに用い,雨傘には必ず用いられた。また雨よけの障子に張って油障子と呼び,現に歌舞伎の舞台に見る《吉例寿曾我》対面場のしとみ障子,《鬼一法眼三略巻》菊畑の花壇の覆いなどがそれである。代用としてはダイコンのしぼり汁が古くから利用され,これを霧にして吹きかけると,障子紙が強くなって,たいていの雨には破れないといわれた。近年はさらに化学作用による洋風の耐水紙,パラフィン紙などができて,油紙の用途はだんだん衰退するにいたった。
執筆者:本山 荻舟
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油紙
あぶらがみ
桐油(きりゆ)、荏油(えのあぶら)またはあまに油などの乾性油を和紙または渋紙に塗布し乾燥して得た加工紙。「ゆし」ともいう。耐水性で強力であり、耐水・包装材料として唐傘(からかさ)、雨合羽(あまがっぱ)、油障子などに用いられたが、最近ではパラフィン紙やプラスチックなどの耐水性包装材料に追われ、ほとんどみられなくなった。また、中性の鉱物油を含浸した薄いマニラ紙も油紙といわれ、包装などに使用される。
[御田昭雄 2016年4月18日]
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油紙【あぶらがみ】
厚手の和紙を防水加工したもの。桐油(とうゆ)紙ともいい,美濃紙などにカキ渋を塗り,その上にキリ油を塗って防水する。かつて桐油合羽(とうゆがっぱ)や雨傘(あまがさ)などによく用いられた。現在では化学パルプまたはマニラアサを原料とした原紙に,鉱物油や煮沸した亜麻仁油,キリ油などの乾性油を吸収させたものが主で,民芸品の和傘などに需要が限られている。強く,耐水性があり,かつては包装用,医療用などに多く使われた。
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油紙
あぶらがみ
oiled paper
乾性油 (亜麻仁油,きり油,テレビン油やその混合物) を紙に浸透させて乾燥させたもの。紙の強度,透明度を大きくし,耐水性を強め,防水用に使われる。古来の雨傘はその使用例の一つ。医療用としては精製した亜麻仁油を,上質の紙や強い薄葉紙に塗布したものを使う。また包装用には鉱物油を厚い紙に浸透させたものや薄手のマニラ紙が使われている。
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