生没年不詳。平安中期の女流歌人で、中古三十六歌仙の一人。源頼光(よりみつ)の娘(養女とも)。母は慶滋保章女(よししげのやすあきらのむすめ)。初め皇太后妍子(けんし)に仕え乙侍従(おとじじゅう)とよばれたが、相模守(さがみのかみ)大江公資(きんより)と結婚して任地に下向、上京後、藤原定頼(さだより)との恋愛を経て公資と離別、一品宮修子(いっぽんのみやしゅうし)内親王に仕えて相模とよばれた。歌人としては寛弘(かんこう)(1004~12)末年からの詠歌が知られ、長元(ちょうげん)8年(1035)「賀陽院水閣歌合(かやのいんすいかくうたあわせ)」、永承(えいしょう)4年(1049)「内裏(だいり)歌合」、同6年「四条宮春秋(しじょうのみやしゅんじゅう)歌合」などに活躍、能因とともに和歌六人党歌人の指導者でもあった。家集に『相模集』『思女(しじょ)集』などがあり、『後拾遺(ごしゅうい)集』以下の勅撰(ちょくせん)集に110首をとどめる。詠風は繊細にして清新、完成度の高いものである。
恨みわびほさぬ袖(そで)だにあるものを恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ
[犬養 廉]
(山本登朗)
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