翻訳|atheroma
皮膚にできる囊腫で,囊腫壁は皮膚の表皮で構成されており,内容は,表皮細胞が角化して脱落した角質や皮脂などから成る粥(かゆ)状物質である。アテローマとも呼ばれる。皮膚と癒着する,やや硬く,境界は鮮明な腫瘤で,下部組織とは癒着しない。きわめてゆっくりと増大し,大きくなると表面は半球状に隆起し,俗にこぶと呼ばれる状態となる。わずかに青みを帯びて見えることや,圧すると悪臭のある粥状の内容が排出されることもある。囊腫の内容に細菌感染をおこすと,表面の皮膚は赤くはれて,痛みをともなうようになり,炎症性粉瘤と呼ばれる。
治療は囊腫全体を手術によって摘出する。切開して内容のみを圧出しても再発する。細菌感染のある場合,切開排膿し,抗生物質を投与し,炎症症状がおさまってから囊腫壁を摘出する。
執筆者:新村 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
皮膚にできる良性腫瘍(しゅよう)で、粥腫(じゅくしゅ)、アテロームAtherom(ドイツ語)などともいう。日常よくみられる「こぶ」の一種である。表皮が真皮内に迷い込んで嚢腫(のうしゅ)となった真性嚢腫と、毛包や脂腺(しせん)の出口がふさがれて生ずる仮性嚢腫とがある。嚢中にはケラチンや脂質などの混じった悪臭のある粥状物が充満し、柔らかくて弾性がある。エンドウマメ大から鶏卵大となり、皮面からわずかに隆起する。皮内から皮下にかけて存在し、手で動かせる。表面は正常皮膚色または淡青色調を呈する。通常は自覚症状を欠くが、二次感染をきたすと赤く腫(は)れて疼痛(とうつう)を伴う。好発部位は、顔面、頭部、胸背部で、陰嚢に多発することもある。成年男子に多く、小児や老人には少ない。治療は、中央に小切開を加えて内容物を押し出すこともあるが、嚢腫壁を残すと再発するので、通常は被膜とともに摘出する。
[水谷ひろみ]
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