フランスの15世紀最大の詩人フランソア・ビヨンの代表的詩集。『遺言詩集』ともいう。詩人が大放浪を終えてパリに帰り、その入市の批准を待っている間に書かれたと推定される(1462年の2~3月の間)。2023行の大作。当時の現実的遺言書式にのっとり、聖三位(さんみ)一体の称名に始まり、埋葬式、墓地、決別のことばをもって終わっている。しかし現実には彼はこの書式を自己の感情吐露の具として使っているので、現実に生存しビヨンとなんらかの関係をもった人々に対し、その関係の内容に関連して、あるいは復讐(ふくしゅう)の表現となり、あるいは感謝の表現となっている。そういう個人感情の表現のほかに、詩人は、死、老、愛、美、醜そのほか人生の大問題についての、自己の瞑想(めいそう)、または感懐を記述している。
[佐藤輝夫]
『鈴木信太郎訳『ヴィヨン遺言詩集』(1961・筑摩書房)』▽『佐藤輝夫訳『ヴィヨン大遺言書』(1953・創元社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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