日本神話の霊鳥。神武(じんむ)天皇が大和(やまと)の実力者である長髄彦(ながすねひこ)と戦って勝てなかったとき、金色の鵄(とび)が天皇の弓弭(ゆはず)に止まって雷(いかずち)のように輝いたため、賊は眩惑(げんわく)されて戦意を失い、天皇は大和を平定しえたと語る。金鵄は皇室の守護霊であり、これが弓に憑依(ひょうい)して建国の業が果たされたのである。この種の神話はハンガリーの建国神話にもみられる。マジャール人のアルパートが軍を率いてハンガリー平原に入ろうとしたとき、猛吹雪(ふぶき)に悩まされたが、その際トゥルルという猛禽(もうきん)が出現し、ふたたび軍が元気を回復し、アルパートはハンガリー王国初代の王となったという。このように猛禽が王朝の起源と関連している神話は、中央アジアのウラル・アルタイ系の諸種族に少なくないといわれている。
[吉井 巖]
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