改訂新版 世界大百科事典 「ヤマハ」の意味・わかりやすい解説
ヤマハ[株]
日本最大の総合楽器製造メーカー。世界でも第1位。楽器以外にもオーディオ,スポーツ用品,レジャー,音楽教育などに事業を多角化している。1987年,日本楽器製造(株)からヤマハ(株)と改称。
1889年山葉寅楠(1851-1916)によって設立された合資会社山葉風琴製作所がその前身。97年改組され日本楽器製造(株)となる。当初はオルガンの製造を行っていたが,1900年ピアノの国産第1号を製作,14年にドイツ製ハーモニカに対抗して国産ハーモニカを製造,32年にはパイプオルガンの国産第1号を完成するなど,日本の楽器製造技術の開発に大きく貢献した。しかし37年に日華事変が起きると,平和産業である楽器製造は縮小され,プロペラなどの兵器を生産するようになった。45年の空襲で大きな被害を受けたが,敗戦後の同年10月からハーモニカとシロフォン,46年からオルガン,ギター,アコーディオンなど,47年からピアノの製造を再開した。また戦時中兵器を製造していた工作機械を使って54年にオートバイを製作した。オートバイ部門は55年にヤマハ発動機(株)として独立した。楽器では59年に電子楽器エレクトーンを発表,スポーツ用品では同年強化プラスチック製のアーチェリーの量産に入った。音楽教育の面では1955年にヤマハ音楽教室のシステムをつくり,67年には三重県志摩にスポーツと音楽のための広大な施設〈合歓の郷(ねむのさと)〉を建設している。資本金285億円(2005年9月),売上高5341億円(2005年3月期)。
執筆者:木村 栄宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報