与那国島(読み)ヨナグニジマ

デジタル大辞泉 「与那国島」の意味・読み・例文・類語

よなぐに‐じま【与那国島】

沖縄県西部、八重山諸島西端の島。日本最西端の東経122度55分57秒に位置する。面積約30平方キロメートル。

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精選版 日本国語大辞典 「与那国島」の意味・読み・例文・類語

よなぐに‐じま【与那国島】

沖縄県八重山諸島西端の島。日本の最西端に位置する。一島で与那国町を形成。製糖業、鰹節の生産が行なわれる。面積二八・五平方キロメートル。

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日本歴史地名大系 「与那国島」の解説

与那国島
よなぐにじま

石垣島の西約一三〇キロに位置する面積二八・八四平方キロの高島。一島で与那国町を構成する。一般にユノン、ユノーンとよばれ、島民はドゥナンという。日本最西端の島で、約一一〇キロ西に台湾島があり、年に何度か気象条件のよいときには同島が見えるが、通常は晴れた日に東方に西表いりおもて島がかすかに望めるほか島影は見えない。歌謡では「与那国ぬ島/一本ぬ国」(「いんしがーぬ金盛ゆんた」など)という対語で謡われ、「一本ぬ国」は周囲から孤絶した島の環境を表現した語といわれる。名歌「与那国すんかに」の冒頭でも「ゆなぐにぬなさぎ いくとばど なさぎ ぬてぬあるあいや とやいしやびら(与那国の情けは言葉が情けである、命のある間は便りをしましょう)」と、なかなか通うことができないために、言葉だけが情けであると謡われる。

正保国絵図に「入表嶋いりをもてしま之内与那国嶋よなくにしま 嶋廻り五里十町」とあり、島の北東から時計回りにおかみ崎・あたんはな崎・大荒川の崎・もりの崎・いれの崎・ひら崎・とも崎・としろ崎・あへ崎・大石崎の各岬が記されており、あへ崎と大石崎の間の入江(田原川河口)からは西表島祖納すね(現竹富町)への航路が描かれ、「入表嶋之内そなひ村より与那国嶋迄海上四拾八里」とある。「中山伝信録」に「由那姑よなくに 在八重山西南」とみえ、「サマラン号来航記」には「Yonakuni」「Y-nah-koo」と記される。ドゥナンの語源については、ユウナ(オオハマボウ)の方言ドゥニンパに由来するとする説、ドゥニ(土根。海面に盛上った陸地の意)フン(島の意)の転訛とする説などがある。昔南方からやってきた男がドゥニを発見し、ヤドカリを放って居住の可能性を確認して住み着いたのが与那国島で、その後大雨が降続いてドゥニには丘・谷・川ができた。大雨がやんで最初に太陽の光が射した所が、祖納そない集落にある拝所ティダン・ドゥグル(太陽所)であるという島創建伝説がある。

〔自然〕

島は東端のあがり崎と西端の西いり崎との間が一一・二キロ、南北が最大四キロの東西に延びた六角形状をなし、最西端の西崎には「日本最西端の碑」が建てられている。最高標高は中央やや東寄りにある宇良部うらぶ岳の二三一・二メートルで、地形的には丘陵・海岸段丘および低地に区分される。丘陵は島の南半分に東西に連なるが、断層によって宇良部岳、インビ岳(一六四メートル)久部良くぶら(一九一・五メートル)などをそれぞれ核とする地塊ブロックに分けられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「与那国島」の意味・わかりやすい解説

与那国島 (よなぐにじま)

沖縄県八重山列島の島で,西表(いりおもて)島の西方約70kmにあり,日本の最西端に位置する。西方約100kmには台湾があり,晴天時には望見できる。1島で沖縄県八重山郡与那国町をなし,人口1657(2010)。面積28.52km2,周囲29.54kmの東西に長い楕円状の島で,東に宇良部(うらぶ)岳(231m),西に久部良(くぶら)岳(195m)があり,山地の周縁には琉球石灰岩からなる段丘地形が形成されている。祖納(そない),久部良,比川の3集落があり,各地に湧泉があって,サトウキビ作や,田原(たばる)川流域では古くから稲作が行われているほか,近年は肉用牛の畜産も行われている。また近海の漁場に恵まれ,漁業も盛んである。第2次大戦直後には香港や台湾との密貿易の中継地点ともなっていた。世界最大のガとして知られるヨナグニサンのほか,在来馬ヨナグニウマなど学術上貴重な動植物も多い。また人頭税にまつわる伝説や史跡も残され,旧暦10月以後の最初の庚申(かのえさる)の日から25日間行われる冬祭が知られる。石垣市と海路4時間,空路30分である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「与那国島」の意味・わかりやすい解説

与那国島
よなぐにじま

日本最西端の島で、沖縄県八重山列島(やえやまれっとう)に属する1島1町(与那国町)。面積28.84平方キロメートルで、最高点は宇良部(うらぶ)岳の231メートルで山地と台地からなる。農水産業が中心であるが、台湾と近接するため古来から貿易が盛んで、近年航路が開かれた。世界最大級のガといわれるヨナグニサンが生息する。石垣島から空便・船便がある。人口1567(2009)。

[目崎茂和]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「与那国島」の意味・わかりやすい解説

与那国島
よなぐにじま

沖縄県西端,那覇市の南西約 510km,与那国町に属する日本最西端の島。晴天時にはタイワン (台湾) の山々が望める。中新世の砂岩,頁岩から成る中部の丘陵性山地には,最高点の宇良部岳 (うらぶだけ。 231m) と久部良岳 (くぶらだけ。 188m) がそびえ,その周囲に鮮新世の琉球石灰岩がみられる。島の周囲には裾礁が発達。主産業はサトウキビ,米作農業と漁業。特産品に伝統工芸の与那国織と花酒 (はなさき) などの泡盛がある。また,島内には巨大なガのヨナクニサンや天然記念物のリュウキュウキンバトなどが生息する。面積 28.84km2。人口 1852 (2000) 。

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百科事典マイペディア 「与那国島」の意味・わかりやすい解説

与那国島【よなぐにじま】

沖縄県八重山列島西端の島。東経122°56′,北緯24°27′にある日本最西端の島で,晴れた日には台湾が望まれる。面積28.95km2。宇良部岳(231m)を最高点とする第三紀層の山地があり,周囲に隆起サンゴ礁台地が発達,海岸はサンゴ礁に囲まれる。《朝鮮王朝実録》によれば,15世紀後半には100人余の島人がいた。与那国町をなす。
→関連項目与那国[町]

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世界大百科事典(旧版)内の与那国島の言及

【人頭税】より

…1人当りの租税負担額に応じた反布を織らせるためにきびしい監督体制が設定されていたが,そのとき生産された布が今に伝わる〈宮古上布〉〈八重山上布〉である。過酷な税制度であったため各地に悲劇的なエピソードが伝わっているが,中でも宮古の〈人頭税石〉,与那国(よなぐに)島の〈久部良割(くぶらばり)〉は有名である。前者はその石の高さになると人頭税が課されたと伝え,後者は税負担に耐えかねて島中の妊婦に割れ目をとばせ人口調節を行ったと伝える。…

※「与那国島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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