局部電池(読み)キョクブデンチ

デジタル大辞泉 「局部電池」の意味・読み・例文・類語

きょくぶ‐でんち【局部電池】

電解質溶液中に浸し金属合金に局部的な電位差があることで形成される電池電食という金属腐食原因となる。局所電池

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精選版 日本国語大辞典 「局部電池」の意味・読み・例文・類語

きょくぶ‐でんち【局部電池】

〘名〙 金属内の局部間に電位差があることによって構成される電池。不純物存在温度差、ヒズミのあるなし、溶液の濃度差、減極剤の濃度差などが原因。金属の腐食や電池の電位差と密接な関係がある。

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化学辞典 第2版 「局部電池」の解説

局部電池
キョクブデンチ
local cell

局所的に生じたアノードカソードが短絡された電池.金属腐食の電気化学的説明のモデル.たとえば,鉄と白金を硫酸水溶液に離して浸し,導線で短絡すると,水素過電圧の小さい白金上で水素が発生し,鉄は溶解する.すなわち,

  鉄 極:Fe → Fe2+ + 2e(アノード反応)

  白金極:2H + 2e → H2(カソード反応)

となる.溶液に浸漬した金属では,金属あるいは溶液側になんらかの不均一性があり,局所的にアノードあるいはカソードを形成すると考えられる.このように,腐食現象を短絡された小電池で説明する考えを局部電池説といい,小電池を局部電池とよぶ.局部電池の生じる原因としては,不純物の偏析,加工あるいは熱処理によるひずみの不均一な分布きず,腐食生成物などの付着,溶液濃度あるいは溶解酸素の不均一などがあげられる.金属の純度を上げると腐食速度が減少する事実などは,局部電池説で考えやすい現象である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「局部電池」の解説

局部電池

 金属材料の腐食の形態の一つ.金属表面が電池の状態になって陰極にあたる部分が溶出する現象.

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