朝日日本歴史人物事典 「屋井先蔵」の解説
屋井先蔵
生年:文久3.12.5(1864.1.13)
明治時代の実業家,発明家。携帯可能な乾電池を考案し,世界に先駆けて実用化した。越後国(新潟県)長岡生まれ。生家は下級武士。明治8(1875)年上京し,神田の時計店に丁稚奉公して時計の修理技術を身につけ,動力を使わない自動機械の発明に魅せられ,独力で電気時計を発明。電池に興味を抱いて屋井乾電池合資会社を設立し,18年炭素棒をパラフィンで処理した独自の乾電池を発明した。25年シカゴで開かれた万国博覧会で屋井乾電池が地震計に使用され,その性能の良さが知られ,特許を出願。日清戦争で性能の良さが評判となり,日本の乾電池業界の覇権を握った。<参考文献>森本真一『電気を封じ込めた屋井先蔵』
(関井光男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報