デジタル大辞泉
「縫」の意味・読み・例文・類語
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ぬ・う ぬふ【縫】
〘他ワ五(ハ四)〙
① 針に通した糸などを布や
皮革などの裏と表から交互に刺し貫く。また、そのようにして布や皮革などを綴じ合わせたり、ものを作ったりする。
※催馬楽(7C後‐8C)
青柳「青柳を 片絲によりて や おけや 鶯の おけや 鶯の 奴不
(ヌフ)といふ笠はおけや 梅の花笠や」
※
源氏(1001‐14頃)若紫「よべぬひし御ぞどもひきさげて」
※赤西蠣太(1917)〈
志賀直哉〉「医者に訊くと実際腹を十幾針か縫ったと云ふ」
② (「繍」とも書く) 色糸を布に刺して模様を出す。縫い取りをする。
刺繍(ししゅう)する。
※二十巻本天徳四年内裏歌合(960)「覆は
蘇芳の村濃にて、藤の折枝をぬひて」
③ 刺し貫いてとめる。
※
読本・椿説弓張月(1807‐11)前「鏃
(やじり)あまりて榎の幹へ一鏗
(ひとゆり)扤
(ゆり)て縫
(ヌフ)たりける」
※歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)三幕「
杉戸に縫
(ヌ)うたる男と女の
死骸が」
④
事物や人々の間を、
衝突を避けて左右に曲折しながら進む。
※別れ霜(1892)〈
樋口一葉〉一二「空に闇を縫
(ヌ)ひ行く烏の両三声」
※
雪国(1935‐47)〈
川端康成〉「美しい池沼を縫ふ小路で」
ぬい ぬひ【縫】
① 縫うこと。また、縫いかた。
② 縫い目。
※
堀河百首(1105‐06頃)春「
春風に霞の衣ほころびてぬいさへ見ゆる
八重桜かな〈源師時〉」
③ (「繍」とも書く) ぬいとり。刺繍(ししゅう)。
ぬわ‐・る ぬは‥【縫】
〘自ラ下二〙
周囲のものにまぎれるようにかくれる。
※
山家集(12C後)下「草しげみ沢にぬはれて伏す鴫のいかによそだつ人の心ぞ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報