八重桜(読み)ヤエザクラ

デジタル大辞泉 「八重桜」の意味・読み・例文・類語

やえ‐ざくら〔やへ‐〕【八重桜】

八重咲きサトザクラヤマザクラから変化したもので、桜の中では遅く開花し、花色は白・紅・緑黄など。ぼたんざくら。 春》「奈良七重七堂伽藍―/芭蕉
女房装束で、五衣いつつぎぬ桜色を用いること。
女院よりの御装束は、―をえもいはず匂はせ給へり」〈栄花・若水〉
[類語]葉桜夜桜豆桜彼岸桜江戸彼岸枝垂れ桜・紅枝垂れ・山桜大島桜里桜桜桃染井吉野

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精選版 日本国語大辞典 「八重桜」の意味・読み・例文・類語

やえ‐ざくらやへ‥【八重桜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. サクラの園芸品種。花は八重咲きで、花色は淡紅・紅など。オオシマザクラソメイヨシノ、ヤマザクラなどよりやや遅れて開く。ぼたんざくら。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「九重に久しく匂へ八重桜のどけき春の風と知らずや〈藤原実行〉」(出典:金葉和歌集(1124‐27)賀・三一五)
    2. [その他の文献]〔俳諧・毛吹草(1638)〕
  3. 桜色の襲(かさね)文様を配した装束。
    1. [初出の実例]「女院よりの御装束は、やえざくらをえもいはず匂はせ給へり」(出典:栄花物語(1028‐92頃)若水)
  4. 紋所の名。桜の紋を、大、中、小三つ重ね合わせた図柄のもの。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「八重桜」の解説

やえざくら【八重桜】

宮崎芋焼酎。酒名は、蔵元の庭にある八重桜にちなみ命名。仕込み、貯蔵ともに甕を使用。白麹で仕込み、常圧蒸留で造る。原料コガネセンガン米麹。アルコール度数25%、30%。芋焼酎ほかそば焼酎麦焼酎もある。蔵元の「古澤醸造」は明治25年(1892)創業。県内で唯一土蔵の仕込み蔵をもつ。所在地は日南市大堂津。

やえざくら【八重桜】

愛知日本酒。蔵元は「旭酒造」。所在地は碧南市東浦町。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「八重桜」の解説

八重桜

宮崎県、古澤醸造合名会社が製造・販売する焼酎。芋焼酎が中心だが、麦、そば、米焼酎もある。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「八重桜」の解説

八重桜 (ヤエザクラ)

植物。八重咲き品種の里桜の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の八重桜の言及

【花】より

…その代表例がサトザクラの開発であった。あの美しい肉厚の八重桜は,関東農民が自力で開発した園芸品種であるというのであるが,同時代の教養人である兼好法師の目には不快に写ったらしく,《徒然草》は〈花はひとへなる,よし。八重桜は奈良の都にのみありけるを,この比(ごろ)ぞ,世に多く成り侍るなる〉(第百三十九段)と非難している。…

※「八重桜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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