頭役(読み)トウヤク

デジタル大辞泉 「頭役」の意味・読み・例文・類語

とう‐やく〔トウ‐|タウ‐〕【頭役/当役】

連歌俳諧の座または酒宴などで、座をとりしきる主人役世話役。かしらやく。
寺院で、講や仏事法会主役

かしら‐やく【頭役】

人の上に立つ役。ちょう

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精選版 日本国語大辞典 「頭役」の意味・読み・例文・類語

とう‐やく【頭役・当タウ役】

〘名〙
① 連歌、俳諧などの座または蹴鞠・酒宴などで、その座をとりしきる主人役。また、その人。かしらやく。また、世話役、当番の役。
親長卿記‐文明四年(1472)一一月一五日「元長一盞張行頭役」
中世祭礼で、田楽(でんがく)流鏑馬(やぶさめ)などの神事芸能の費用を負担する役割。また、その人。
大乗院寺社雑事記‐長祿四年(1460)六月一日・若宮祭田楽頭記「門跡事、云未作事、云頭役、大儀成立如何」
③ 寺院で、逆修会・講・談義そのほかの仏事法会の主役。
東寺百合文書‐と・暦応二年(1339)二条僧正道承代承賢申条々事書「件頭役闕怠之仁、雖被衆勘」

あたま‐やく【頭役】

〘名〙
人数に応じて平等に割り当てる金品の負担。頭割り。
※俳諧・独吟一日千句(1675)第八「道橋もかかり物とてあたま役 高ひもひくいも松のむら立」
② 頭を丸めた僧侶役目。もめごとを調停する役など。
浄瑠璃・忠孝大礒通(1768)三「いぢむじのない様に、頭(アタマ)役じゃ禅師坊様」

かしら‐やく【頭役】

〘名〙 人の上に立つ役。会合をまとめたり、仲間を統率したりする役。
言継卿記‐天文元年(1532)七月二七日「中御門月次会也、予頭役也」
※政談(1727頃)「何役にも頭役・添役・下役・留役四段に立て」

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世界大百科事典(旧版)内の頭役の言及

【職衆】より

…また,職衆の中から立てる特定の役向きには次のような種類がある。声明各曲の先唱者を務める〈頭役〉,楽器類(鐘(しよう),磬(け)(い),(きん),(によう),鈸(はち),太鼓など)を扱う〈音具役〉,洒水(しやすい),祭文(さいもん),表白(ひようはく),呪願(しゆがん)などの特定の作法に従事する〈作法役〉,進列の先導および法具の配置・撤収などに気を配って法要をスムーズに進める〈進行役〉,導師などの要職に従う〈随伴役〉などで,法要の性格に応じて必要となる役を設ける。各役の実際の呼称は宗派によりさまざまであるが,法要の実施要項にあたる次第や差定(さじよう)に役名が記入公表される。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」