アイスキネス(読み)あいすきねす(その他表記)Aischinēs

デジタル大辞泉 「アイスキネス」の意味・読み・例文・類語

アイスキネス(Aischinēs)

[前390ころ~前315ころ]古代ギリシャの雄弁家。論敵デモステネスと争った。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「アイスキネス」の意味・読み・例文・類語

アイスキネス

  1. ( Aiskhinēs ) ギリシアアテナイ弁論家。デモステネスの論敵として、親マケドニア政策を説いたが、敗れた。(前三九〇頃━前三三〇以後

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アイスキネス」の意味・わかりやすい解説

アイスキネス(哲学者)
あいすきねす
Aischinēs

生没年不詳。紀元前5~前4世紀ごろのギリシアの哲学者アテネの人。ソクラテスの徒で、「ソクラテス対話篇(へん)」を書いた。『ミルティアデス』『カリアス』『アクシオコス』『アスパシア』『アルキビアデス』『テラウゲス』『リノン』の7編があったらしいが、わずかの断片が伝わるのみである。プラトンによれば、アイスキネスは、ソクラテスの裁判にも、死にも立ち会っている。なお、弁論家のアイスキネス(親マケドニア派でデモステネスの論敵)、およびナポリのアイスキネス(前2世紀のアカデメイア派の哲学者)は別人である。

[田中享英 2015年1月20日]


アイスキネス(政治家、雄弁家)
あいすきねす
Aischinēs
(前390ころ―前330以後)

古代ギリシア、アテネの政治家、雄弁家。貧家に生まれ、悲劇役者や官吏として生活していたが、やがて政界に進出し、紀元前348年以後、アテネの親マケドニア派の代表者となった。前346年には、フィロクラテスとともにマケドニアへ赴き、現状維持を基調とした平和条約をフィリッポス2世と結んだが、これをめぐって、のちに反マケドニア派のデモステネスとの間に激しい対立が起こった。デモステネス派との法廷闘争に関連する彼の演説が3編現存しており、この時代のギリシア政治史の貴重な史料となっている。結局彼は前330年にこの法廷闘争に敗れ、ロードス島に退き、雄弁術の教師として暮らした。

[篠崎三男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「アイスキネス」の意味・わかりやすい解説

アイスキネス
Aischinēs
生没年:前397ころ-前322ころ

アテナイの政治家,弁論家。前4世紀後半のアテナイで,当時北方よりギリシア本土に勢力を伸ばしつつあったマケドニアへの対抗策をめぐり,強硬論を主張する代表的な政治家デモステネスと激しく対立し,裁判でも再三争ったが,前330年敗れてロドス島に隠棲した。両者の法廷弁論は,当時のアテナイの内政と外交の実状を明かす貴重な史料をなしている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイスキネス」の意味・わかりやすい解説

アイスキネス
Aischinēs

[生]前389頃.アテネ
[没]前314頃.ロードス
ギリシアの雄弁家,政治家。アッチカ十大雄弁家の一人。前 348年マケドニア王フィリッポスとの和平の使節団に加わって以来,親マケドニア派の旗頭として,反対派のデモステネスとの間に激しい論戦を展開。前 340年の彼の演説を契機にデルフォイをめぐる聖戦が始り,その結果マケドニアの介入によって前 338年カイロニアの戦いにアテネ軍は大敗した。デモステネスの行賞に反対した彼は,前 330年デモステネスとの間に最後の大演説戦を交えた。しかし訴訟に敗れて追放され,ロードス島の弁論術の教師として生涯を終えた。演説3編が現存。

アイスキネス
Aischinēs of Athens

前5~4世紀頃のギリシアの哲学者,ソクラテスの熱心な信奉者。彼は師の裁判にも臨終にも立会い,その『ソクラテス的対話篇』は師の面影を最もよく伝えるものとされたが,アンチステネスアリスチッポスのようには学派をつくらなかった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「アイスキネス」の意味・わかりやすい解説

アイスキネス

アテナイの政治家,雄弁家。親マケドニア政策を鼓吹し,同時代の大雄弁家デモステネスと激しく対立して敗れる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android